第八十八話 人は何故キャビンに憧れるのか?


      

写真はオーストリアのサンビーム42.1のキャビンです。なかなか良いでしょう?こういうのを見たら、大抵の人はキャビンに思いを馳せる。たとえヨットの事を何も知らない人でも、キャビンだったら想像できる。家族と友人達と・・・・容易に想像できるからこそ惹かれていく。だからキャビンに憧れを持つのは当たり前。不思議でも何でも無い。

しかし、もう一歩想像を進めてみる。このキャビンで何をしようとするのか?それをどの程度の頻度で、しかも、何年にも渡ってやり続けるのか? ヨットには旅、宴会、別荘、セーリング、ピクニック、レース等々の使い方があるが、何を主体にしたら面白く、頻度高く、何年もの長期に渡って楽しめるのか?

敢えて、言えば、このもう一歩先の想像が足りないのではなかろうか?想像した事を何年も続けていくとしたら?その想像に写真の様なキャビンが一層盛り上げてくれるのなら大いに楽しめる。しかし、よくよく考えたら、そうでも無いかもしれない。

キャビンを否定するつもりは毛頭無い。しかし、その使い方によってキャビンが活きる事もあるし、そうでは無い場合もある。クルージング対セーリング、或いは、キャビン対セーリング、このバランスは長期に渡る用途としてどの程度のバランスが良いのかは、とっても重要ではないかと思います。

サンビームヨットは全体的にクルージング艇にしては速い方です。少なくともクルージング艇にしてもこの程度は欲しい。そして、もっとセーリングを重視していくとするなら、サンビーム28.1というモデルがあるし、さらに割り切れるなら、デイセーラーという選択がある。

所詮、キャビンが主役になる事は無い。だから、キャビンを想像するより、セーリングかクルージングかを先に想像してみる。するとその想像にキャビンがどの程度必要なのかも想像できる。キャビンはあくまでサポート役です。何故ならセーリングにしても、旅にしても、寝泊りが主役になるとは思えないから。ところが、欧米人は寝泊りを主役にできるんですね。だから、彼らは大きなキャビンを造る。

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