第九十八話 乗り方、使い方を問う


      

世界を見れば様々なコンセプトのヨットが建造されている。これから問われるのはヨットの前に、自分自身の乗り方をより具体的にしないと、何となく、隣のヨットと同じにするのでは、そのうち動かなくなるのがおちだ。ヨットの進化は専門性をより濃縮してきている。

旅と言っても、どこまでの旅か?レースと言ってもどのレベルなのか?航行する範囲が遠いか近いか?それに要する時間もどれだけ費やせるのか?また、シングルハンドも有りか無しか?そのシングルもどの様に操作するのを前提とするか?

外洋と沿岸の旅は違う。本格レースとローカルのお祭り的なレースは違う。一か月旅するのと、1週間では違う。セーリングにしたってハイスピードを楽しむセーリングもあれば、そのヨットの様々なフィーリングを軸に楽しむセーリングもある。デイセーラーに様々なパフォーマンスが与えられているのも、そこに理由がある。

ヨット文化の浸透度の違いは、各人がどれだけ自分自身のスタイルを持っているかどうかかもしれない。浸透度が深い程、各人の求めるバリエーションは広がり、それを満たす為にいろんなタイプのヨットが生まれる。車がまさにそうだ。世界にはきっと自分自身のスタイルにピッタリのヨットがあるだろう。その前にどうしたいのかがポイントでは無かろうか?昔の様にレースしないからクルージングだとは単純に決める時代では無くなった。日本のヨット文化がこれからどうなるかは、ここにポイントがあるのではなかろうか?つまり、どれだけのバリエーションを受け入れられるか?日本も、もうそろそろそういう時ではなかろうか?

次へ       目次へ