第73話 メインテナンスは解らない?

機械に弱くて?メインテナンスは解らない物と決め付けていませんか?今の電子機器を
装備した車と違って、ヨットは非常に単純です。メインテナンスと言っても、GPSをどうにか
しろという話では無いのです。掃除をして、ゴミを捨て、動く物は動かしてやる。錆び無い
ように気をつける、海水の流入をできるだけ避ける。ビルジをきれいにしたり、配管がどこ
を通っているかを知る。バルブもきれいに、そうしていくと、どこに何があるかが頭に入り
ます。自分のヨットを徹底的に知ることです。解らない事は業者に聞いて下さい。教えて
くれない業者とは付き合わない事です。

車は故障しませんね。優秀なのでしょうか?いやいや、ヨットの置かれている環境は苛酷
なのです。舗装道路を走るわけではなくて、悪路を橋っているようなものです。それにリギン
の大きなテンションにさらされ、さらには波と風にストレスを受ける。海水は入ってくる。こんな
状況の中で、メインテナンスは解らないなんて言っていられません。まあ、良く沈まないでい
られるなと思います。

あれもこれも、ヨットに接する機会が実に少ないからです。ヨットに来ないんですから、メイン
テナンスなんて考える事はありません。せいぜい、シーズンに入るから船底塗装でもしておく
かぐらいのものです。船底塗装をしたら、ジンクも換えて、船体全体も磨いておきましょう。
木部もきれいにです。シートやハリヤード類も必要なら交換します。ウィンチもグリスアップし
て、とにかく、きれいに保つ事が第一歩です。自分でできます。やってみれば簡単な事です。
殆どは自分の目で見てわかる事ばかりです。

乗ることは誰でも考えます。今度は誰を誘おう、どこに行こう、こういう事は考えますが、メイン
テナンスは考えない。ヨットに来て、いざ出そうとしたら、不具合がある。早速、業者に電話し
て、修理しといてと言う。そんなもので良いのでしょうか。いざ、自分でやるとなると、最初は
解らない。でも、だんだんと解ってきます。たいした事無いと解ります。解ってくると、面白くも
なります。自分のヨットが誰のヨットよりもきれいになっていきます。こういう事を続けていきます
と、艤装の仕方が、こうだったら良いのにとか思ってくる。ここにもうひとつアイがほしい、ブロック
はこの位置につけたら良い。自分の使い方が解り、艤装もそれに合わせていきたくなる。そうして
初めて自分のヨットになるのではないでしょうか。

自分のヨットになったら、もっともっと様々な事がわかってくる。セールのトリミングもわかってくる。
もう少し引いたり、出したり、セールが伸びてきた、走りも解る。どんどん面白くなります。ヨットを
本当に楽しむ事ができます。仮に、業者にやらせても、是非聞いて下さい。どこがどうだったかを。
ソファーはめくって、床板をめくって、全部を知り尽くすつもりで、扱いまわします。そうしたら、ヨット
がきれいになるだけでなく、何かが突然起こっても、大抵のことは解ります。解れば楽しくなります

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