第二十話 美的感覚


      

美しさはそれぞれの個人のもの。だから一概には言えないが、全長が長い方がデザインとしては美しく描けるのは間違い無い。何故なら、人間の身長を考えれば、でかいヨット程、余裕で美しいラインを引く事ができる。

だとするなら、小型艇では美しいラインを描く事は無理という事になるが、ところが、デイセーラーはキャビンを重視しなくなった事で、小さなサイズでも美しいラインを描く。天井が低いのはそのせいだ。35フィートでもまだまだ、40フィート近くになると、やっとキャビンで真っすぐ立てるかな。そんなヨットが一般受けしないのは仕方が無い事のかもしれない。

美しさよりも居住性が重視される。デイセーラーは居住性より美しさを優先する。さらに、それには別の理由もある。重心をより低くする為でもある。軽量化もある。つまり、セーリング重視。キャビンを重視するヨットとセーリングを重視するヨットは立ち位置が違う。

つまらない話かもしれないが、デイセーラーは見た目の美しさと、走る姿の美しさを優先している。しかし、これは一般受けしない様だ。広いキャビンよりも、余程、この方が魅力的に思えるのだが、世間はどうもそうでも無いらしい。しかし、もっと目を広げて見れば、世界は、これを受け入れる人達が増えている。そう、自宅にはもっと快適なキャビンがある。だから、ヨットにまで、キャビンを重視しないで良い。求めるのは、セーリングの方だ。

デイセーラーは、如何に美しいヨットを、如何に美しく走らせ、様々なセールフィーリングを味わう処にロマンがある。自由自在に走って、滑らかなセーリングを味わう。美しさは重要だ、遊びなんだから。

その美しさはクラシック系もあれば、モダン系もある。その中間的なものもある。それぞれに雰囲気が異なり、性能も違う。いずれにしろ、どんなデザインが自分の感性にフィットするかで選びます。そのフィット感が性能面においてもフィットしていると思います。セーリング重視のヨットは、見るも、走るも、感覚重視。

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