第五十三話 もうひとつの価値観


      
イーグル36

写真はオランダのイーグル36デイセーラー。カッコ良いでしょう。しかし、普通の感覚では選べないかもしれませんね。何故なら、キャビンはひとつで、バウバースしか無い。実用性を取るか、美しさを取るか、となると、やっぱり実用性が優先されるのが一般的かもしれない。

でも、世界はこれを選択する。日本でもイーグル44が一艇ありますが、実用性よりも遊び心を優先する時、このヨットは何にでも使えるわけでは無いが、でも、それ以上に魅力的に思えます。そう、ヨットってのは、遊びなんです。これで、どこまでも旅をしたいなんて考えないし、大勢で泊まりたいなんても考えない。気楽に、いつでもセーリングを楽しむ、それじゃいけないだろうか?

SADR値は23.3ありますから、結構走る。ただ、前後の長いオーバーハングが水線長を短くしているが、でも、そのわずかなスピードアップの為に、この美しいデザインを犠牲にする価値は無い。このヨットは、これで良い。別にレース目的じゃ無いし、優雅に、スポーティーに、自由自在にセーリングできれば、それが何より。


イーグル36

キャビンは、この上の写真のみ。バーススペースは二人分しか無い。それが何か?メインサロンはコクピットだ。広いコクピットにテーブルを設置して、そこには、シンクと冷蔵庫が内蔵される。近場なら旅もできるが、このヨットは、セーリングとピクニックが主体かな?大勢は似合わない。あくまでプライベートに、気軽にヨットに携わる。そんな価値観があっても良いと思います。多くを求めず、優雅に、美しく。



クラシックデザインのスポーツカーみたいなものでしょう。コードゼロやジェネカーを展開するにも、バウポールなんて必要無い。フォアステーの前が空いてますから。排水量 3,300kg、バラスト1,350kg、もちろん、バキュームインフュージョン工法です。



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