第四十七話 旅を快適に


      

高齢化の流れは、より楽にヨットを動かせるようにしたいという傾向を作ります。30フィートぐらいなら、ウィンチを使わなくてもメインセールをほぼトップ迄上げられる(スライダーの滑りを良く)。最後のテンションを掛けるのにウィンチをチョイと。ただ、今は大丈夫でも、この先を考えたらメインハリヤードのウィンチは電動にしたいという方は少なく無い様です。

また、大型ヨットが目立ちますが、一方では30フィート前後に落としたいという方もおられ、これも高齢化の流れのひとつです。クルー不足もあるでしょうが、シングルでも動かせるようにとバウスラスターを求める事もあります。

ノウハウを持っていても、力は衰えてくる。だから、楽に動かせるようにしたい。かと言って、何でも電動にすると費用もかかります。ひとつ疑問なのが、クルージング艇のメインシートです。トラベラーをキャビン入口の向こう側に追いやっています。コクピットにあると邪魔だから。でも、そのせいで、ブームの中央辺りからシートを引きますので、より大きな力が必要になります。それにラット仕様なら手が届かない。

今回輸入しましたTES28で思いますが、メインシートはブームエンド近くからリードし、ラットを持ちながらの操作が可能、テコの原理からもブームエンドから引く方が力が軽減されます。それにトラベラーが無い。それで良いじゃないか、と思いました。ジブは小さ目の110%程度、確かに速くは無いかもしれないが、ある程度吹けばセーリングは快走するし、安定性も高い。クルージング艇の在り方として、その方が良いのでは無かろうか?旅を楽しむのが第一目的です。セーリングに、状況次第でエンジンもおおいに使う。より旅を快適にする為に快適なコクピットと容易な操作が必要です。それに、ちょい乗りピクニックも楽に楽しめる。

写真はTES28のコクピットですが、メインシートは一点取りのトラベラー無し、油圧のラット仕様で、オーナーズチェアーがあって、ラット横にはカップホルダーがある。さらに、コクピット周辺のライフラインはベルト式、背中が痛くなりませんね。ラット前には計器設置の為の大きなピデスタルがある。GPSとオーパイなんか設置できます。それに、小さな事ですが、ロッカーの蓋にはちゃんとガスピストンのサポートが付いている。クルージング艇として、良く考えられていると思います。


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