第五十二話 価値観のバリエーション


      

イーグル54デイセーラー、でかいヨットだからって遠くへ行く為では無い。世界のヨットに対する価値観は従来のそれとは違ってきて、もっとバリエーションに富んでいる。クラシックで、こんなエレガントなヨットは近所をデイセーリングするだけでも気分を高揚させてくれる。だから、このサイズでデイセーラーなのです。

これからは30フィート前後が増えると良いなと書きました。それに変わりはありません。でも、中にはこんなヨットもあると良い。中核が30フィート前後で、その他、いろんなヨットがあった方が楽しいから。このサイズでも二人で充分、慣れたらシングルでも可能です。ネットで見ると世界にはいろんなサイズ、いろんなデザインのヨットがあります。そのバリエーションこそが浸透度を示しています。

このヨットなんかは、100%の遊び心によってしか選択されないだろう。このサイズでもキャビンはシンプル、必要最低限にまとめられている。それで良い。何故に何でも詰め込む必要があるだろう。世界が求めるヨットの在り方も多様化してきている。でかいイコール広いキャビン、遠出、そんな必要はもはやありません。

美しさ、速さ、乗り味、操船のし易さ、セーリングを味わう事が最優先されています。本来実用性の無いヨット、それでも何とかキャビンとか設備で実用性を考えてしまう。でも、このヨットはそこからさらに実用性から程遠い存在です。そんなヨットもあって良いと。まさしく、遊び心満載のデザインだと思います。

このヨットの造船所は相変わらず好調の様です。絶対数はまだまだ少ないだろうけど、世界は確実にこういう遊び心満点のヨットを求めてきている。遊びなんですから、それで良い。美しさをとことん求めても良いし、速さを求めても良い。思うがままに遊ぶから楽しいんであって、そうじゃなきゃ遊びの楽しさが減じられる。遠くへ旅するだけがヨットじゃ無い。思うがままです。

下の写真は同じモデルの44フィート、日本にも進水させています。このヨットに友人を誘って、気軽に走らせる。オーナーはシングルでも気軽です。スイスイ走って、セーリングを満喫して、2,3時間で戻って来る。風がある時はセーリング性能を満喫し、アドレナリンも沸きあがってくるだろう、風があまり無い時は、静かに繊細さを感じながら味わう。キャビンなんて殆ど使わないだろう。だから、シンプルで良い。だから、デイセーラーなのです。いろんな人が居て、いろんな乗り方がある。世界は従来からの固定観念から解放されつつあります。良い事ですね。そうしたら、もっといろんなサイズといろんなデザインといろんなコンセプトのヨットが増えて行く。実に愉快です。



さらに最小モデルがイーグル37。このデザインから言って、これ以下のサイズは難しいのかもしれません。何しろ、前後にある長いオーバーハングが特徴です。従来36フィートのモデルがあったのですが、37フィートにモデルチェンジ、デザインはイーグル54に似てます。2019年1月に第一号艇が完成する予定です。



実用性の無いヨットを何とか実用性を少しでも考えて造る。それもありかもしれないけれど、いっそのことここまで自分を解放できたら、何と気軽に楽しめる事か。

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