第六十話 100マイルフィールド


      

一日ならセーリング、一ヶ月なら旅に出るという言葉がありますが、セーリングは兎も角、一ヶ月とか数ヶ月単位で旅を続ける事は、忙しい現代人にとって、なかなかできる事ではありません。それで、日常的にセーリングと旅は一週間以内で考えるとやりやすくなると思います。また、日常的にそれがあるからこそロングの旅も、いつかは実現できる。

半径100マイル圏内をフィールドとして想定すると、エンジンでストレートに走っても16,7時間かかる。結構な範囲です。実際は寄り道したり、目的地の滞在時間を考えると、往復で約一週間の旅。距離的にも時間的にも充分旅を満喫できるかと思います。慣れたら一気に夜間も含めて走れるし、刻んでも良い。

100マイル圏内に何があるのか?そこから調べてみては如何でしょうか?結構、いろんな箇所があると思います。博多だったら長崎迄行けます。シングルも良し、夫婦旅も良し、もちろん、ファミリークルージングも良い。そこに慣れて来たら、それこそいろんな処に旅ができます。無理のない20〜30マイルの距離なんかで試しても良いかもしれない。まずは近場で、エンジンで4,5時間圏内の距離で、到着翌日を丸一日楽しんで、その翌日に帰る。これなら2泊3日コースです。さらに縮めて、1泊2日コースでも良い。日帰りでも良いんです。一挙に遠くへ行く必要があるだろうか?近場だって行った事の無い箇所がたくさんあります。まずは、近場を散策しては如何でしょうか?どこまで遠くへ行ったかという記録を立てたいわけじゃない。楽しみたいだけなんです。同じ場所に行ったとしても過ごし方を変える事もできる。

旅を楽しむコツは短い旅を何度もやる事では無いかと思います。無理なく、気軽に、行った先の温泉を楽しんだり、料理を楽しんだり、ヨット泊でも、ホテル泊でも、行き先がマリーナだったら、置いて帰る事もあり得る。復路は次回にやれば良い。

旅は楽しい冒険です。電車でも車でも行ける。しかし、ヨットで行く処に価値がある。急がない旅なんです。是非、夫婦旅を見出して頂きたいと思います。紫外線? 是非、奥さんを説得して、ピクニックから誘ってみてください。できたら、ヨットに一泊してみてください。

我々はヨットと海を特別視し過ぎてきたのかもしれない。海は遥か向こうの海こそ価値があると思い過ぎたのかもしれない。海は目の前にもあるのに。そこで、近場に注目してみようという話です。上の写真はコンパック27、下の写真はTES28、どちらも夫婦旅に最適だと思います。もちろん、ラット仕様です。近場におけるピクニック、セーリングから旅、さらに別荘的使い方、これらを使いこなしてこそヨットは活きて来る。日常こそが大事なんだろうと思います。日常に非日常的ヨットと海を楽しむ。さらにこのサイズならシングルも可能です。


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