第二十四話 レジャー?


      

ヨットはレジャーボートと言われますが、そもそもレジャーとは何か? これには欧米との認識の違いがある様です。レジャーとは、人間が生存する為に必要な行為以外、食事とか仕事とか、それ以外の行為をレジャーと定義し、そのレジャーにも積極的に行動するレジャーとそうで無いレジャーとがあるそうです。少なくとも、日本ではヨットはレジャーとして成立するのか?

日本人のレジャー感は、どこかに行ったり、何かをしたり、積極的行動を伴う事が多い。一方、欧米人のレジャー感は、もちろん積極的行動を伴いますが、それ以外、仕事をしないで、何もしないのもレジャーとして捉えられています。日本人にとったら、特になにもしないというのは楽しくないし、こんなのをレジャーとは言い難い。

この認識の違いが、ヨットの使い方においても明らかです。欧米人にとっては、マリーナに行くという行動はあるものの、そこで特別な事をしなくても良いわけです。大事な事は仕事じゃ無いという事です。一日中、おしゃべりしたり、ぶらぶらしたり、それこそ日常的な行為でも良いわけです。でも、日本人にはこれが耐えられませんから、何もしないなら、すぐ帰る事になり、それがひいてはマリーナから足が遠のく事になり、マリーナが賑わうのは何か特別のイベントがある時になる。夏なら花火大会とかです。日本人にとって、マリーナに行くには何をしに行くかの理由が必要なんだろうと思います。これに対し、欧米人には特別な理由なんて要らないんだろうと思いますね。

となると、日本人はどうやってヨットと付き合っていけば良いか? それはこれまでの通りレージャーとしての認識では無く、一歩進んで趣味として捉える事ではないかと思います。レジャーは楽しいがしょっちゅうやるものでは無い。一方、趣味は面白くてしょっちゅうやりたくなる。

趣味としてのお薦めはセーリングですが、これがピクニックと違う処は、自分の意識もセーリングに集中しているという事です。そして、セーリングをもっと知りたい、上手くなりたいという意欲があります。それがあればこそ、セーリングは実に面白くなります。セーリングに自分の意図が生まれ、セーリングが主体的になる。これが面白さをもたらして行きます。単なる風任せでは無く、自分の意図があるという事です。

もちろん、セーリング以外の事を趣味とする事もできます。何を趣味にしようが、そこにはもっと知りたいとか上手くなりたいとか、成長するという進化があれば、そこを軸として遊ぶ事ができます。こういうのはレジャーと言うより趣味だと言えます。

ただ、レジャーとしてほんのたまに乗るだけでも良いという方には必要無い事です。そんな面倒くさい事したく無いという方もおられると思います。それは自由ですが、レジャー的使い方が大勢を占めるとなると、これ以上は広がっていく事は無い様な気がします。では、これまでの広がりは何故起きたのかとなりますが、昔は結構みんなレースやセーリングに対して貪欲だったからだと思います。何人か集まってはヨット談義が普通に行われていました。今では殆ど見かけなくなりましたね。これが全てを物語っているような気がします。だから、再び復活するようになればと願っています。

だいたい、ヨットに乗るには少なからずノウハウがあり、練習も多少は必要です。そんなのをレジャーと捉える方がおかしい。

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