第三十六話 孤独の薦め


      

妻帯者だってヨットではシングルになれる。今時、何してようが独りになる事なんて無いな〜。風呂とトイレぐらいかな〜。それが当たり前になって、ひとりで何かにじっくり取り組むなんて殆ど無い。先日、出張の折、移動時間に久しぶりに小説を読んでみました。厳密に言えば、これだって周りに人が居たわけですが、でも、たっぷりその世界を味わう事ができました。

気忙しい毎日の中、独りになって何かするなんてなかなかできません。シングルは貴重な時間になるんじゃないかと思います。これで独りになれる理由ができますね。ちょっとマリーナに行ってくると言い残して、セーリングを堪能できますし、ゆったりした時を過ごせる。孤独は好きですか?

シングルになれば、いろんなマインドを持つ事ができる。セーリングマインドはセーリングを探求する世界、小説読んだって良いし、昼寝したって良いし、とにかく孤独の世界です。家に書斎を持つ方でも、部屋を出れば家族が居ます。それとは違う世界、海の上、自由自在のマインドです。じっくり音楽に浸ってみるのも悪く無いですね。

誰かと一緒に何かをやるというのも良いんですが、ひとりで何かに挑戦するというのも悪く無い。むしろ、そんな時間をつくった方が良いんじゃなかろうか?ひとりになると誰に気兼ねする事も無く、じっくりと自分に向き合える。どんな事を考え、何を感じているか、現代の目まぐるしく変化する時代では、孤独の時間は貴重だと思います。

都会人は孤独にはなれません。否、都会人はたくさんの人達に囲まれながら実際は孤独なのかもしれませんが、ここで言う孤独とは違います。敢えて孤独を求める。孤独という時間を楽しむ、そういう積極的な意味があります。

孤独を楽しめるようになれば、そこから新たに生まれる独自の感性があると思います。たかが数時間ではありますが、そこで何かを、セーリングを探求し続けて行けば自己の中にひとつのセーリングマインドという感性が確立されていきます。だからこそ、普段の生活をも、より楽しむ事もできるのではないでしょうか?シングルハンドはセーリングを堪能すると同時に、孤独を楽しむという意味があります。

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