第八十六話 中古ヨットに対する考え方


      

10年や15年程度の中古ならまだしも、30年以上の船齢になってくると、いろんな艤装品に不具合があっても不思議ではありません。でも、大抵は船体そのものには問題が無い事が多く、さて、この艤装品や見た目をどうするか?

当然ながら古いですから価格的には安くなります。でも、そのまま何も整備しないで良い状態というのは、なかなかあるものではありません。そこで、いろんな艤装品を交換したり、磨いたりという事になって、その費用も考慮されなければなりません。しかも、その費用もどこまでやるかに寄りますが、その安かった船体価格+アルファですから、結構な金額になります。

そうなると、じゃあ、その予算でもっと船齢の若いヨットにした方が良いという考え方もある。ただ、その予算で、どれだけ若い船齢のヨットがあるのか?という事もあるし、しかも、そのヨットは全く整備しないで良いのかという事もあります。つまり、30年も経つと、それより若い20年ものだとしても、50歩100歩かもしれない。

30年物のヨットのセールを交換したり、エンジンを整備し、ソファーを張り替えたり、ポンプ類、トイレ等々を交換したり、そうしたヨットと20年物ヨットと、仮に価格が同じだった場合、どっちが良いのか?という疑問も浮かんでくる。

もちろん、そのヨットにも寄りますが、30年物だとしても、様々な整備を施していけば、この先安心して乗れます。多分、20年物のそのままのヨットよりは良いのではないかと思います。少なくとも交換した艤装品は新品になる。その上、整備において様々な箇所を見渡しますから、全体の状態が良くなります。

各人に寄って、いろんな考え方がありますし、ヨットもいろんな状態がありますから、一概には言えませんが、でも、これからは、古くなったヨットを、ただ壊れている箇所を修理してというより、全体を整備して乗るという方が、特に古いヨットを購入する場合には良いのではないでしょうか?

昔は20年物と言えば、もうそろそろ寿命と思われていた。何の根拠も無くです。今ではそんなのを通り越して30年を超えてきて、尚且つ、まだまだ乗れるという事が解ってきた。そうなると、これまでの中古ヨットとは異なる考え方にもなっていく。昔の様に10年前後のヨットがたくさんあった時代とは違い、ここも高齢化が進んできたわけです。

こういう全体整備という考え方は、これからはどんどん一般化していくだろうと思います。30年物の全体を整備したヨットと20年物とどっちが良いのか?そういう時代になってきたと思います。セールを新調し、床板を交換し、テーブルや内装チークはニスを塗り直し、ソファーカバーも張り替える。これでどれだけ綺麗になるか、気分も全く違ってきます。案外、中途半端な船齢よりも良いかもしれない。

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