第九十五話 自由自在を遊ぶ


      

コロナウィルスで自粛の日々、仕事はもちろん大切なのですが、あらためて、遊びの大切さも思い知ります。人にとって仕事も遊びも、生きていく為には、どちらも重要だと思います。もはや遊び無しでは生きられない。遊び無しで生きていてもしょうがない。

遊びを最高に楽しむ方法は、最高の知識と技術を手に入れるというより、今の状態、レベルで自由自在になる事、そして心が自由自在に動き回れる事ではないかと思います。誰よりも速く走れる技術があるとしても、それで面白いという保証は無い。

シート操作しかしないにしても、それに身も心も慣れて、自由自在に走れると、遊びとしては立派に楽しめるのではないでしょうか?でも、人は同じ場所に居続けると飽きてきますから、慣れたら次を目指し、また慣れて自由自在を楽しみ、また次を目指す。それをする限り、一生遊べます。ここで言う次を目指すというのは、セーリングの向上でも良いし、旅の広がりでも、他でも何でも良いのかもしれません。次を想像し、自由に心が動く。


セーリングにおける究極の自由とはシングルハンドだと思います。それさえ自由にできれば、如何なるときでもどうにでもできます。その最短にあるのが小さなヨットかもしれませんが、たとえ大きなっヨットであろうとも、今の時代、パワーアシストによって可能にできます。パワーアシストは、遊びに対して自由になる為の手段であり、必要なら大いに採用すべきだと思いますし、ただ便利だからという理由だけでは無い。物も言わない、飯も食わないクルーを得た様なものです。

その自由自在を手に入れたら、慣れた感を感じたら、次へ。技術や知識は遊ぶ為にあります。今より一歩進んだ知識や技術を得たら、どんな風に面白くなるだろうか?ある30年のベテランヨットマン、これまではあっちこっちに旅を楽しんでこられた方ですが、メインシートのトラベラーはどう使う?と聞いてこられた。これまで彼の自由自在は旅にあったわけですが、これからはセーリングにも心が向いた。その後は、ひたすらデイセーリングを楽しまれたわけです。旅の自由自在、セーリングの自由自在、人に寄っていろいろあります。

遊びの対象に対して自由になって、その現象を楽しむだけでは無く、遊びの対象に想像したり、工夫したりしていく事が面白さを生み出していく最大のコツではないかと思います。それを楽しむ為には、まずは今の位置で自由自在になる事ではないかと思います。できればシングルで、それを可能にしておきたい。それができるヨットはどれか? と考えたいと思います。

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