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ヨット人口の高齢化によって何が変わるのだろうか? 高齢化は今に始まった事では無いが、昔は、若いクルーが来て、そのクルーがやがてはオーナーになって行くという循環があった。しかし、今言う高齢化は、その若いクルーが来なくなったという違いがある。それによって何が変わるのか?
仕事を引退して、これからヨットを始める方も少なくない。そんな時、昔なら若いクルーを見つける事も難しくは無かったが、最近ではこれは期待できない。となると、自分で全てを操船する事になる。その場合に気になる事は、自分の技術もあるが、これは学んで、練習すれば何とかなる。でも、自分の体力は維持できるのか? これからの年月を考えれば、今は良いとしても、先々はどうか? なんて気になるかもしれません。
そこで考えられるのが二つ。一つは、パワーアシストを採用して、体力の衰えを補助する方法と、もうひとつはサイズを小さくしておく事。どちらも体力に無関係では居られない。
今日の技術をもってすれば、大きなヨットでもプッシュボタンセーリングにすれば、操作においては非常に楽にできます。但し、ここでの問題は理屈的には簡単ですが、そのヨットサイズがもたらすボリュームの圧倒感という事になる。それに、でかいヨットをひとりで操船できるのは、格好は良いが、そのでかいボリュームのヨットで、ひとりというのは、ちょっと寂しいかもしれ知れない。でも、何も知らないゲストでも、招待すれば、それは解決できます。ボリューム的圧倒感を感じなければ、後は、ゲストを招待して乗れば自由自在に楽しむ事も可能です。
もうひとつは、小さなヨットにする。と言っても、昔の20フィートなんかを選択するのでは無く、やはり30フィート前後ぐらいか? それだとシングルでも可能です。これをパワーアシストにするケースもあります。小さなとは言っても、そこそこの大きさはあるし、個人が個人的に楽しむには、ちょうど良いサイズ。このジャンルでは、デイセーラーには多くの種類があり、クルージング艇もありますが、大型化の波に押されてか、このぐらいのサイズが少なくなりました。
どんなヨットにしても、これから先はクルーをあてにしない、自分の体力を考慮する。そういう事になるのではないでしょうか? そのうえで、旅を求めるか、セーリングを求めるかになります。
今日のクルージング艇は、豊富な装備で快適にする事ができます。大きいのはもちろん、小さいのだって可能です。だから、装備は問題無い。後は、サイズをどうするか? ボリューム感、デザインに対する好きという感覚、そういうので決めても良いんだろうと思います。
また、セーリングの場合でしたら、もちろん、デザインの好き嫌いが重要ですが、そのヨットが持つセーリング性能に対して、どのあたりのレベルを選択するか? デイセーラーはクルージング艇より、小さなセールでありながら、セーリング性能は高い。しかし、どれだけ高いかは、各デイセーラーによって異なります。兎に角、ハイスピードを狙うとか、そこまでは必要無いとか、スピード性能の幅が広いです。そこで、自分が気に入ったデザイン、見た目です。それがセーリングのスピード性能さえも、無意識のうちに含んでいると思います。ですから、気に入ったデザインは、気に入った性能を発揮すると言えるのでは無いかと思います。
上の写真と下の写真、どちらもデイセーラーです。スピードポテンシャル的に、どちらが速いかと考えますと、明らかに上の写真でしょう。何の数値データを見ずにも、そのぐらい分かります。そして、その見た目を気に入ったとしたら、それは無意識にも、性能さえも見ている事になります。例えば、上の写真だったら、いかにも速そうなデザイン、それが好きなんですから。
一方、下の写真もデイセーラーで、スピード性能は高いです。でも、上の写真と比べたら、スピード性能は落ちるだろうという事ぐらい見た目だけで分かります。でも、その代わり、操船はこちらの方が楽でしょう。スピードが上がればあがる程に、より繊細さを要求されます。と言っても、繊細さに対応しなくっても走るのは走るのですが、本来のそのヨットの走り方では無い。ならば、このヨットにする必要もないという事になります。
従って、クルージング艇ならサイズとボリューム感で選び、デイセーラーだったら、スピードポテンシャルで選ぶ。もちろん、どちらも、デザインに対する個人的な好き嫌いが重要だという事はいうまでもありません。という事で、これからは、クルージング艇はパワーアシストとボリューム感、デイセーラーはスピードポテンシャルというのがポイントかなと思います。もちろん、好き嫌いは重要ですが、数値データを無視して良いというわけではありません。数値データは確認と比較において、客観的な、ダメ押しとでも言えるような効力を発揮します。
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