第三十一話 納艇


      

アレリオン30をやっと納艇する事ができました。コロナ禍といえ、受注から1年以上も経ってしまいました。オーナーには、辛抱してお待ち頂いた事に感謝しています。弊社の方法は、一旦は地元の福岡に入れ、そこで艤装、検査取得まで行って、それからオーナー指定のマリーナに運んで納艇という手法を取っています。よく最初からオーナーの指定マリーナ近くの港で輸入して、そのマリーナで艤装すればと言われます。でも、事はそう簡単ではありません。

以前、横浜に入れて、艤装をしてもらった事がありますが、結局、満足できる艤装ができず、やり直した事があります。それに懲りて、それ以降は現在の方法を取る事にしました。それに、特に、関東でやりますと、結構、全てがお高いので、結局は、福岡から輸送費をかけてでも、お得なのではないかと思います。

艤装は全てが正常に作動するかという点検はもちろんですが、こうした方が良いというのも含めて実行しており、単に、組み立てれば、それで良いとは思っていません。小さな処では、カムクリートにロープが逃げない様に上にフェアリードを設置、ところが、そうしますと設置されていたボルトが短くなって、それで手配してもインチサイズで、長さも含めて無い。ネット探しても無い。という事で、このネジを造ってもらいました。こんな小さな事でも、状況によっては手間と時間がかかります。

さらにマストはカーボン製で2ピース、接着して繋ぎますが、繋いだら1週間ほど、負荷をかけずに置いておきます。ここにも時間がかかる。要はいろいろあって、そう簡単なな事では済ませられないという事です。そう言えば、今回はフォアステーが11インチも長すぎた。よくよく調べてみると、ジブブームが無い場合は、ファーラーのドラムがデッキ下に納められます。でも、今回はジブブームを設置しましたから、この仕様の場合は、ドラムはデッキ上、という事は、その分フォアステーは短い。それが造船所が間違えたんですね。それで至急、フォアステーを新しく手配した次第です。こんな事、出張先ではすぐにはできません。やっぱり艤装は地元でやらないと、地元でやればこそ、様々な状況に臨機応変に対応できる。というのが私の結論です。

さて、オーナーと一緒にセーリング、やっぱりこのヨットは良く走る。セーリングを楽しむのがこのヨットです。土曜日は、風が弱く、でも、スイスイ感がある。日曜の午前中はさらに風が落ちて、1,2m程度の風、ところが、午後から急に吹き始めて、あっという間に10m越え。オーナーは1日で微風から強風まで経験できて、こんな事もあるんだ、勉強になったとの事。

ヨットは如何に自分のものにするかが重要です。理屈では無く、実際に操作に馴染む事、いかに速く走らせるかはまだ先の事で、その前に、操作に、動きに馴染んで、本当の意味で自分のものにする事が重要なのではないかと思います。そうすれば、その先、いろんな楽しみ方を自分で生み出す事もできると思います。

この度、先方のマリーナの方々に非常に親切に対応して頂きました。よそ者としては本当有難かった。皆さん、本当に気持ちが良い方々ばかりでした。実は昔、アレリオン28を、同じマリーナに納めた事があるんですが、その時も本当に良いマリーナだと感じましたが、今回はスタッフが全員違っていたですが、でも、やっぱり良かった。

さて、下の写真は内装ですが、とってもシンプルです。それで良しとしたのがデイセーラーの在り方、それよりセーリングを如何にと考えたヨットです。軽い排水量に高い船体剛性、内装を豪華にするのとは意味が異なります。



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