第四十八話 バウスプリットとアンカー


      

先日、バウスプリットについて尋ねられました。ジェネカーを上げる。コードゼロを上げる。いずれにしろ、バウスプリットが必須とは言いませんが、特にファーリングにする場合は役立ちますし、ジブとの距離をおいた方が良いし、パルピットが邪魔にならないくらい突き出す事も必要になります。

バウスプリットと言ってもいろんなタイプがあります。何もポールとは限りません。アンカーローラーを設置したバウスプリットもあります。何故なら、アンカーを打つ時、どう打つかも考えて置く必要があるからです。上の写真はそのひとつで、TES28クルージング艇のバウスプリットです。下側はステンレスパイプで支えていますから、アンカーを打つ時もジェネカーを上げる時も、その両方の支えになります。

さて、下の写真は別のタイプのバウスプリットです。


写真を見ますとアンカーローラーがありません。要はロッカーから出して海に放り込む事になりますが、このヨットにはパルピットが無いので簡単に出来ますが、もし、パルピットがあるとややこしくなります。パルピットの下をくぐってアンカーを打つ事になり、これは面倒ですから、その場合は、アンカーローラーを設置して、常時、アンカーをそこに設置しておいた方が楽になります。ところが、ヨットのバウ形状によっては、アンカーローラーをどこに設置するか? それと、アンカー中、ヨットが風で振られてバウスプリットや、その下のロープとかワイヤーとかに引っかかるかもしれない。思案のしどころかもしれません。

さて、次は既存のバウスプリットで、使う時は伸ばし、使わない時は引っ込める。それで、アンカーローラーの問題は無くなります。が、しかし、バウにはアンカーロッカーがありますので、その上にポールを置くと、アンカーロッカーを開ける時には、このポールを外す必要があります。どれも一長一短がありますが、アンカーを使う時は、そうしょっちゅう無いし、その際は多少面倒でも仕方ないと考えるなら、やりようがあります。



下の写真は日本で製作したものです。まあ、いろんなデザインで造る事は可能です。ただ、アンカーの問題をどうするか、どう考えるか次第かもしれません。



でも、これでコードゼロやジェネカーをファーラーで展開する事ができるようになります。それと,アンカーの操作とを天秤にかけてどれが良いのか?どうせアンカーは滅多に打つ事が無い、せいぜい万一の緊急性のある時、ひょっとすると全く無いかもしれないとするなら、自由に考える事もできます。或いは、時々でもアンカーを打って、そこで海水浴とか楽しむなら、アンカーの事も充分考慮しておいた方が良いという事になります。

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