第八十五話 スポーツ度の違い 


      

いろんなデイセーラーがありますが、それらの主な違いはスポーツ度の違いです。あるひとつのジャンルにあるヨットはだいたい似てきます。レーサーならレーティングを含めてより速くを競います。クルージング艇ならキャビンの広さ、設備、便利さでしょう。それらのパフォーマンスはそれぞれ似た様なものになっていきます。何しろ、共通した目的をめがけて競争しているわけですから。

ところが、デイセーラーの場合は共通部分も多いのですが、ヨットの主軸であるセーリングに関しては実に様々です。もちろん、セーリングパフォーマンスを重要視しているのですが、それは何もスピードだけを求めているわけではありません。レースを楽しんでも良いですが、レーサーを造っているわけではありません。オーナーが自由自在にセーリングを楽しみ、セーリングからグッドフィーリングを得られるのが一番で、それは必ずしもハイスピードだけから得られるわけではありません。人に寄って心地良いセーリングスピードがあり、寄って、スピードに関しては各艇によって様々です。そこが他のコンセプトのヨットとは違う点のひとつです。多くのバリエーションがあります。速いヨットは面白いものですが、速すぎるのも困る。否、もっと速いのが良いという方もおられるでしょう。

各デイセーラーには多くの共通点もあります。船体の軽量化、、スリム、低いフリーボード、シングルハンド仕様等々があり、そのうえで多くのスピードとサイズのバリエーションがあります。そしてデザインもいろいろです。ただ、デザインで共通する処もあり、水線から上のデザインは大きく分けて3種類。クラシック系、モダン/クラシック系、モダン系の三つです。そしてこれらのデザインはスピードパフォーマンスにも関連しています。

簡単な話、クラシック系は前後にオーバーハングを設け、モダン/クラシック系は後部だけにオーバーハングがあり、モダン系にはオーバーハングはありません。これらは見た目の印象が全然違ってきますが、同時にオーバーハングは水線長を短くしますので、スピードに影響します。でも、クラシック系でも、そこそこ速いのがデイセーラーです。上の写真はモダン/クラシック、下部の写真はモダン系です。前話のイーグル38はもちろんクラシックデザインです。デイセーラー全体を見ますと、クラシック系が多く、デザイン的にはモダンだけれど、印象的にクラシックイメージを醸し出しているのもあります。やっぱりクラシックイメージは人気ですね。

これら全部を総合していきますと、各デイセーラーの違いはいろいろありますが、セーリングで見ますとスポーツ度の違いと言えると思います。そしてデザインの違いもスピードにも関連しています。速いのはレーサーレベルと言って良いぐらいのもあります。見た目の違いとスポーツ度の違いと言えると思います。まあ、上と下の写真、見ただけでどっちが速いか解りますね。ただ、厳密にはデーターを見ますが。もちろん、どれが良いという問題では無く、どれが好きかという問題だと思います。好きなデザインを選べば、応じたパフォーマンスが付いてくる。



次へ      目次へ