第九十四話 再び30フィート

      


近年、ヨットサイズの大型化が目立ってきました。昔は、いつかは30フィートなんて言われていたものです。それが35,40,50フィートオーバーなんてのも日本に入って来る様になってきました。ところが、最近では再び30フィート前後を求める方々も増えてきているように思います。かつては大きなサイズに乗っていた方がサイズダウンされる。その理由は高齢化によって体力を考えての事やクルー不足などが主な理由の様です。

大きなヨットに電動パワーを装備する事によって楽に動かせるようにするヨットもありますが、サイズダウンして気軽に楽しみたいという方々も少なく無い様です。それで、再び30フィート及び前後です。これぐらいのサイズですとシングルが可能であったり、しかも、クルージング艇ならそこそこの広さのキャビンや装備もあります。船内で生活でもしない限り、しても良いですが、そう困る事も無い。それにもうロングの旅も無いだろうし、ロングの旅をするにしても少人数なら充分という考え方もあります。

もちろん、みんなが同じ考え方ではありませんが、そういう方々も増えてきていると思います。つまり、大型艇にパワーアシストを装備していく方法と30フィート前後に気軽さを求める方法です。大型艇は充分過ぎるぐらいの広さを持ち、30フィート前後でも充分じゃないかという事もあります。

ヨットを所有するとなると乗るだけではありません。長年に渡ってどう維持していくかも重要です。それには自分のヨットについて詳しく知る必要がありますが、クルーが居るなら大型艇でも維持できるでしょうが、クルー無で大型艇となると、何しろ装備がたくさんありますから、それらを知る事、良い状態を維持していく事は簡単ではありません。オーナーはしょっちゅうヨットに関わって行く必要があります。たまに程度なら簡単に忘れてしまう事も少なくありません。クルーで無くても、サービスとの関係をうまく使って維持していく必要があります。

一方、30フィートとなると余計な装備は無くなり、比較的シンプルになりますから、オーナー管理でも充分に維持していく事ができると思います。と言っても専門的な処では専門のサービスを受ける必要がありますから、身近にそういう専門を確保する事も考えておく事は重要と思います。人によって管理運営できるサイズ等はいろいろですが、もう随分前になりますが、アメリカのマリーナを訪問した時、ある方が言ってました。このサイズならオーナー管理できるが、こっちの大型艇はオーナー管理は難しい。そういう事ですね。どこで線引きするかは自分次第。そういえばデイセーラーならシンプルですからもっと大きくても大丈夫。乗る事と維持する事の両方を上手く運営できるとヨットライフは快適になります。

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