第七十五話 ウィークエンドクルージング 

   
   

スポーツをし、ピクニックをし、そしてたまにはクルージングもするかもしれません。これはピクニックの延長と考えても普段のピクニックとは全然違う様相を呈します。デイセーラーであってもクルージングには行けます。ただキャビンは狭いので船内に泊まれるのは少人数になるでしょう。或いは旅館とかホテルとかを利用すれば問題は無い。多くのクルージング艇だって同じ様にホテルとか利用する方々は少なくないです。意外にヨット泊した事が無いという方々も多い。ならば、普段使いの事を考えればデイセーラーの方が面白いのにと思ってしまいます。

旅には何日もかけて行くロングの旅もありますが、たとえクルージング艇でも実行される方々はそう多くは無い。なら、ここでもデイセーラーなら普段からもっと面白いセーリングを味わえるのにと思ってしまいますが、それは兎も角、近場へのウィークエンドクルージングもお薦めです。

多くの場合でクルージングをする時はエンジンで走る事が多い。何故なら距離を考えた時、明るいうちに到着したいと考えるとするとセーリングで行くには時間が読めない。エンジンで走るならだいたいの計算ができます。しかし、ウィークエンドでクルージングをする時、その距離が短くて時間的にも心理的にも余裕があるとするとセーリングで旅をする事も考えられます。いつも走っている圏内から少し出ただけで旅気分を味わえる。エンジンとセーリングの両方を併用する事もありますね、風向きが良ければ。そんな時はエンジン側の燃費も向上します。

セーリングで行く場合、例えエンジンで行く場合でも一直性では無く何か所かで方向転換しながら走る事になると思いますが、エンジンとセーリングの違いは行き方が異なります。最初の方向転換までがまずは第一の目的点ですがエンジンで行くなら一直線で目指す事ができますが、セーリングの場合ならその時の風向がどこから来ているか?目的点が上りのヨットがセーリングできない範囲にあるなら真っすぐは狙えないのでタッキングしながらのアプローチという事になります。その時、右か左か、どっちからアプローチした方が良いか?せっかくのセーリングなのでそういう事も考えてみます。時間もたっぷりありますし。そういうゲームとして楽しんでみるのも良いと思います。

目的点より左側から吹いてくるか、右側から吹いてくるか?目的点により早く近づける事を考えますと、目的点より左側から吹いてくるなら右側からアプローチした方が角度的により近づけます。もちろん、左右に何の障害物が無い場合ですが。そしてその後風向が変わっても、目的点から左側に風向がある場合は右側から、但し風向が目的点に近づけば目的点に対する上り角度は落とさざるを得ませんが、それでもここでタッキングして左側からのアプローチよりも有利です。そして、もし風向が目的点を越えて右側からの風向に変わったらタッキングして左側からアプローチします。もちろん、上り角度を落とせばスピードは上がりますが、その場合は近づく角度は遠ざかるので、このバランスが必要にはなりますが、取りあえずはこういう観点で遊びながらクルージングを楽しんでは如何でしょうか?

また、目的点が上りに無い時は一直性に狙う事ができます。舵はひたすら目的点に向けて、セールもそれに合わせて、風向が変わろうとも同じです。但し、風向が上りの範囲に入ってこない限りにはなりますが。もちろん風向だけでは無く風速に合わせてセールを調整していきますが、基本的にセーリングはこの二つしかありません。ただ、それぞれにセールの調整というものをやります。

こんな事ロングクルージングでもやってやれないわけじゃあ無いけど、いつ到着するやら。だからエンジンで行く事が多いです。近場の旅だからこそセーリングで行けるわけで、そうするとセーリングならではの特性を考えて走るという遊びもあるわけです。余裕があればです。

この基本セーリングは湾内でのセーリング時でも同様です。普段のセーリングでこの事も意識して走るなら旅でも同じ事、ただ距離が長くなっただけの話です。ただ厳密に考えると潮流という事もありますので実際走ってみながら潮流も含めて考える事になります。

エンジンで行くなら単純な事でも、セーリングで行くならいろいろ考えて走る事になり、それが面白さとして受け止めるかどうか? もっと気楽に行きたいでも良いし、もっといろいろ考えて走るのでも良いし、その時の気分次第でも良いと思います。普段の湾内のセーリングが湾から出た時でもセーリングする限りは応用できます。普段使いにたまには変化をもたらす旅も良いものです。デイセーラーはセーリングを主とし旅は従という位置づけになるかなと思います。

ただひとつ言える事はエンジンでどんなに速く走ったとしてもセーリングでのスピード感は、エンジンより遅かったとしてもなかなか面白いものがあります。スピード感は全然違います。これぞヨットならではですね。


目次へ      次へ