第三十五話 電気

電気は目に見えないので、理解するのは難しい。ある程度の専門知識も必要
になる。でも、全く解らないわけでは無い。バッテリーがあり、ケーブルで接続
されており、こんな事は目で見れば解る。少なくとも、目で見て解る程度は誰
でも理解しておいた方が良い。当りまえと思うかもしれませんが、そこの簡単
な事がわかっていない人が意外に多い。つまり、何かのトラブルがあった時、
頭から自分で考えないで、業者に頼む人がいます。その前に、自分でも考えて
みる余地はあるのではないかと思う。

電気はバッテリーからバッテリースイッチを経由して、パネルに行き、そこから
各機器に繋がっています。バッテリーの充電はエンジンのオルタネーターから
充電される。しかしながら、ケーブルは繋がっているが、本当に電気が行って
いるかどうかは目で見ては解らない。ここにみんながお手上げになる部分があ
る。

オルタネーターがバッテリーを充電しているかどうか、電圧計を付ければ、エン
ジンを回している間、電圧が上がるからすぐにわかる。バッテリーが低下して
いれば、いつもよりエンジン始動のスターターモーターの勢いが弱くなる。つまり、
正常な状態を知っていれば、わずかな異常も症状でわかる事も多い。

バッテリーが2個以上あるヨットも多いが、その場合はエンジンのスタート用と、
他の機器用と分けて使う。とにかくエンジンがかかれば充電もできる。かからな
ければお手上げになる。バッテリースイッチには1と2、そしてBOTHがあり、その
スイッチによって、使い分ける。気をつけなければならない事はバッテリースイッチ
で選んだバッテリーのみしか、オルタネーターは充電しないという事です。エンジン
さえまわっていれば、全てのバッテリーを充電しているわけではありません。
つまり、バッテリーの使い方と充電をちゃんと考えなければなりません。もうひとつ
注意することは、バッテリーの充電し過ぎを防ぐ過充電防止装置がついていると
いう事です。2個のバッテリーを同時に充電している時、片方が満杯になれば、もう
1個のバッテリーが空でも、充電はしなくなる。この時は、空の方のバッテリーだけ
をスイッチで選べば良い。どのバッテリーを充電しているのかを考えて使う。

最近、ノーメインテナンスのバッテリーも多くなりましたが、まだまだバッテリー液を
補充してやらなければならないバッテリーが多い。特に、陸電からバッテリーを充電
している場合、繋ぎっぱなしが多いですが、思った以上にバッテリー液の減りが早い
ので要注意です。

見えない電気はわからないものの、接続部などが緩んでいたり、錆びていたり、そう
いう事は解る。常々そういう事に注意していれば防げるトラブルは多いものです。車
が故障しないので、それと同じように考えてはいけません。車以上に環境の悪い所
で使用されるヨットは、より注意が必要です。という事は時々はソファーのクッション
をはずして、覗いて見る。その為には不要な物が一杯詰まっていると、面倒になる
ので、不要な物は下ろして、どこもきれいに、ドライにしておく。こういう事がトラブル
を無くすことになりますが、解っちゃいるけど、となる。ヨットは面倒くさがっては乗れ
ません。

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