第四十九話 結論

それで、今までいろんな能書きを書いてきましたが、結論です。日本人にはヨットに住まう事
や別荘代わりに使うスタイルは合わないと言う事。他の何かが主役で、それをした後、や
合間に使うサブ的にキャビンを使う方が合う事、他の何かとはセーリングであるという事、
セーリングするも、暇が無いので、ロングには行けないか、或いはほんのたまである事、それ
ならショートクルージングが主体で、ショートクルージングにはセーリングそのものを楽しむ姿勢
を持つ事、セーリングにはダブルハンドか又はシングルハンドを想定しておいた方が、いろんな
場面で対応できるという事。いかなるサイズであれ、気軽さが大切である事、セーリングを楽し
めるようになると、その他のキャビンさえも楽しめるようになる事、ロングは引退してから行くか
行かなくても良い。

ショートクルージングにはそれに向くヨットがある。低い重心、低いフリーボード、高いスタビリティ
ー、小さなジブに大きなメイン、コクピットに集中した装備、舵から手が届く事、できるだけオート
パイロットは使わない主義、操作して楽しみ、その反応を楽しむ。その為にはスピード計や風向
風速計はあった方が良い。フラクショナルリグが良い。気軽さを持つ事、持てるヨットである事、
後は、オーナーの気持ちです。セーリングをいかに楽しんでやろうかと思う気持ちと気軽さを持つ
事。

これらを全て満たすヨットであっても、キャビンはあるし、ベッドもある。ギャレーだってあるし、何ら
不自由では無いんです。ただ、ひとつひとつの部屋が少し狭いかもしれませんが、決して、不自由
では無い。それどころか、キャビンライフさえも充実してくる。

後は、ひとつひとつの設備、機器類が本当に必要かどうかを検討したら良い。何度も書きましたが、
冷蔵庫なんて不要です。バッテリーの心配が増えるだけです。或いは、セーリング中ずっとエンジン
かけておきますか?必要ならキャンプ用のを持ちこんでも良い。ガスコンロも簡易のカセットコンロ
で充分、清水のポンプもマニュアルでOK、電動なんか不要でしょう。マニュアルにはスイッチを入れ
る必要が無いのですぐに使える。意外と、スイッチパネルから清水のポンプスイッチを探していれる
というのは面倒なんです。それにたくさんは使わない。キャンプ用品屋に行きますと、ヨットで使える
グッズがたくさんある。それに安い。備品が少なくなれば、それだけ船内空間は広くなる。そうなると
どこもがきれいに保てます。メインテナンスもしやすくなる。後は、余計な私物をできるだけ増やさない
事でしょうね。

それで、整備をいつもバッチリして、気分が向いた時にいつでも出せる状態にしておく事です。九州で
は真冬でも、たまに良い日があります。こういう時でも、ふらっと2,3時間のセーリングができれば
良いでしょうね。地域の状況によって異なるとは思いますが、できるだけ気軽に出せる状況を演出
しておく事は大切です。船体を守る為にフルカバーをかけているヨットありますが、少なくとも、乗らない
時期なら解るが、乗れる時期ならこれはしない方が良い。確かに、ヨットにとっては良いのだろうが、
カバーをはずして、そして帰ってきた時にまたかける。この作業を想像しただけで、面倒くさくて、出る
のためらってしまう。係船ロープもそうです。蜘蛛の巣みたいに、張り巡らすのも同じ事、できるだけ簡単
にできる方が良い。そして、メインテナンスをも楽しむ。ヨットを知り、きれいになっていく自分のヨットを楽
しみ、チークデッキを磨き、ニスを塗り、エンジンをきれいにしてやる。これら全てがヨットライフです。
そうしたら、自分のヨットが本当に自分の物になる。充実ヨットライフがおくれます。

そうは言っても、最初からいろんな装備がついてくるし、キャビンもでかいし、スタビリティーもあまり無い。
そういうヨットが多い事は事実です。でも、そうでは無いヨットも世界にはある。ありがたい事に世界は広い
欧米人が住まう事が好きだと言っても、そうでは無い人達もたくさん居ます。そうでは無い方々の為に
ヨットも建造されています。ただ、日本にあまり無いというだけです。世界をもっと見ましょう。今では、イン
ターネットのおかげで、誰でも世界のヨットが見れる。その中から自分のスタイルに合ったヨットを見つけ
出してはいかがでしょうか。私もお手伝いさせていただきます。とにかく、一人でも多くの方々が、ヨットを
楽しんでもらう事が重要です。

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