第十二話 ヨットの魅力
| 突然ではありますが、ヨットの魅力はどこにあるでしょうか？環境が刻一刻変化する事でしょうね。 人間は変化しないとあきてきます。ヨットの場合は、どんどん変化します。だから飽きないのです。 車で走って、雨がふったり、晴れたり、渋滞になったり変化しますが、でも大きな変化ではありま せん。道路が動き出したり、エンジンのパワーが変化するわけでは無い。でも、ヨットは波が変化 し、風が変化する。こういうのは扱いにくいものです。非常に制御しがたい。でも、ある程度までは 変化に対応ができる。対応できると、エンジンのシフトレバーを操作して対応しているのとでは雲泥 の差です。 このあらゆる変化にたいして、うまく対応できた時、ご褒美として、快走ができる。快走できると、脳 内アドレナリンが放出され、快感が走る。これがまた、うまくできたもので、全ての人がある一定条 件内でなければこうならないという物では無いんですね。人による。自分のレベルによるんです。 初心者の頃は何でも無い事にも感動し、慣れてくると、その上のレベルを求める、そしてそのレベル で感動できる。つまり、初心者から超ベテランまで、自分のレベルの感動を得られるという具合です。 ですから、上には上がある。永遠に尽きないわけです。こんな遊びが他にあるだろうか？実は、本当 はみんなそういうものですね。何でも、取り組めば、そのレベルでの感動があり、上達すればそのレ ベルがあり、もっと上達すればもっともっと上がある。大切な事は自分がその方向に向いているという 事だと思います。 何も無理してやるという事では無く、そのセーリングを自分の上達ぶりを楽しむという事で良いんじゃ ないでしょうか。へたでも良い、自分が楽しんでいれば良い。但し、この深さはピクニッククルージング では味わえないと思うんです。スポーツセーリングだからこそだと思うのです。ピクニックにはピクニック の楽しさがあります。若い女の子でも居れば楽しいもんです。それも否定はしません。おおいに結構。 うらやましいくらいに結構なことです。でも、これにも限界がある。 きれいな奥さん持って、それだけで幸せかと言うと、そうでも無い。男というもの、女性もそうかもしれま せんが、イケメンの男さえ居れば良いというものでもないでしょう。それだけでは人生は充実しません。 ですから、仕事に夢中になったり、何かを達成したくなったり、そういう事に夢中になる。異性が不要で はありません。必要です。お互いに異性を必要としています。ピクニックも必要だし、楽しさも必要だし 守る事とも、安楽も必要です。でも、本当の魅力はその反対側にあるもの、内と外、緊張と緩和の両方 が無ければ面白く無い。緊張ばかりでは持ちません。でも、緩和ばかりでは退屈です。 それで、緩和はピクニックセーリングやキャビンとなり、緊張はスポーツセーリングにあると思います。 この二つをうまく使い分けていかないといけません。緩和だけでは飽きて、乗らないヨットになってしまい ます。今の動かないヨットはみんなそのせいじゃないかと思うんもですが、どうでしょうか？ ですから、緊張を求めていただきたいと思います。日常生活が緊張の連続だから、ヨットには緩和を求 めるという方もおられるかもしれません。でも、ヨットの緊張は日常の緊張とは次元が違います。実に ストレスの溜まらない緊張、緩和をいっそう楽しませてくれる緊張、そういう効果があります。何故なら 相手が自然だからです。自然ばかりは人間の手ではコントロールできません。最初から、人間にはそう いう自然に対する畏敬の念がある。だから、時には残念と思う事はあっても、相手に対して文句を言う ようなストレスは起きない。しかも、自分さえ調和できれば、何と素晴らしいセーリング体験ができます。 |