第五十二話 ジブセールとジェネカー
| ジブセールのコントロールは、まずはシート。このシートは引けばセールが内側に、出せば外側に来る。 このシートがサイドデッキにあるシートトラックのリードブロックを通る。このリードブロックの位置が大切 ですね。ジブセールのリーチとフットの両方に平均的に力が掛かっている時、ブロックを前側に移動させ ればリーチにテンションがかかり、フットは緩む。つまり、ドラフトは深くなり、リーチが閉じる。逆に、この ブロックを後部に下げれば、フットはテンションが上がり、リーチは緩むので、リーチが開く。つまり風が 流れて行く。 シートを引いて、ブロックは後ろに、となると、セールの下部はサイドステーにくっつき、上部は開く事に なるので、のぼりを稼ぎながら、強い風を上部で逃がす事ができる。でも、トラックは前後に走っている が左右に、メインシートトラベラーのようにはなっていない。つまり、これはセールをもっと出したい時に、 メインセールのようには開けないという事になる。それで、開きたい場合、ダウンウィンドになるとスピン やジェネカーを使うという事になる。ジブセールは元々上り用であって、ダウンウィンド用では無い。 ジブセールをどのくらい開くかは経験によりますが、スプレッダーとの距離を見て、経験を積んでいくしか 無い。スプレッダーとセールの距離をいつも見て、風の具合とヨットのスピードで経験しながら積み上げて いく。 ドラフトはハリヤードのテンションとフォアステーのサギング量で決める。風が強くなると、フォアステーは 丸くカーブを描く。セールにかかる力の影響です。そこでバックステーアジャスターを引くと、フォアステー のサギングが取れるので、ドラフトを浅くする事ができる。もちろん、ハリヤードはドラフト位置のコントロー ルとなる。 ジェノアをもっと出したいが、トラックが内側なので、うまいこときれいに開かないという場合は、トウレール にブロックをつけて、もう一本シートを取り、外側のブロックを通せば、もっと良くなる。それ以上は無理。 それでウィスカーポールでジェノアを横に張り出すか、或いはジェネカーやスピンの出番となる。 ジェネカーはタックラインとシートだけ。ポールは使わない。シートはできるだけ出す。出して、セールの肩 がひらひらし始めたら引く。この繰り返し。タックラインはセールの高さを変える。強風であれば引いて、下 に下げ、軽風なら出して高くする。但し、風下に流れるなら引く。スピンに比べて簡単操作にはなったが、 その分タックが固定なので、真後ろの風には向かない。でも、クルージング的にはお奨めですし、さらに ファーラーならもっと簡単にできる。 メインとジブとジェネカー、それぞれのセールコントロールも簡単には行かない。それらがふたつ合わさる ともっと複雑になる。これが大人の知的遊び。でも、良いことに、必ずしも理想的なコントロールをしなくて もヨットはちゃんと走ってくれる。つまり、レベルに応じて、自分のレベルで知的に遊べ、レベルが上がった ら、もっと遊べる。底無しの面白さがあります。 おまけに、バウが重いとウェザーが強くなったり、マストの立て方でも変わる。実に複雑です。おまけに 風も弱くなったり、強くなったり、方向も変わる。これがレースなら、どのコースを取るかも考えなければ ならない。潮の影響もあるし、気象の影響もある。ですから、極める事は困難です。極めようなんて思わな いで、一歩一歩レベルを上げていく。今日はメインセールを中心にトリミングして、理屈を覚え、操作の影響 を感じる。次はジブとか、少しづつ楽しめば良い。こんなに複雑なので、一生かかっても飽きることが無い。 少しでもコントロールがうまくなれば、ヨットはより速く走る。それが体験できたら、その快感を味わう事になる まさしく快感です。理屈がわかって、自分で操作し、そしてヨットは速くなる。これは快感以外の何物でも無い。 そして、もっとと思う。頭と体の体操です。どっちかと言うと頭の方が比率は多いか。だから年よりでもできる のです。ちから不足は電動ウィンチを使えば良い。でも、頭は補うものが無いのです。知的遊びというのは この事です。そして感性で感じる。波の音が変わる。風の音が変わる。良いですね。スポーツしましょう。 酒飲んでるだけがヨットじゃ無い。スポーツすると、こんなに感性が喜ぶのですから。たまには良いでしょう？ |