第五十九話 遊びの自己制限

ヨットがまだまだ日本社会に浸透していないので無理も無いが、ヨット遊びに自分で制限を加えて
いるように思えます。欧米はもっと自由に、他人がどんなヨットでどんな遊び方をしていようと、自分
流の遊びを追求する人は多いと思います。ですから、いろんなタイプのヨットが次々に生み出されて
いる。外洋に行くつもりも無い人は外洋艇は必要無いし、広いキャビンの必要無い人は、もっとスポー
ティであったり、大金持ちはメガヨット、クラシックなヨット、本当に様々で、それぞれの遊びを満喫して
いるように思えます。

速いヨットが必ずしもレーサーである必要は無いし、レースしなくても速いヨットを求めて何が悪い。
シングルハンドで、近場を快走するのが何が悪い、それぞれに個性的で、遊びぐらい個性を発揮して
自由になれれば最高でしょう。

それにはもっともっとヨットが浸透していかなければなりません。欧米ではいろんなタイプを見る事がで
きるので、それを想像する事はたやすい事でしょう。でも、日本ではクルージングかレースかの二つ
しか無い。それで、同じようなヨットばかりが入ってきます。でも、もっと浸透すれば、日本にも、いろいろ
なヨットが入るでしょう。そうするとマリーナ見学は実に楽しくなる。あるマリーナ、あるひとつのブランド
が多分80%かそれ以上入っていた。考えられないことです。何故、こうもみんな同じヨットにしたがるの
か?多分、失敗しないヨット選びという事だと推測します。でも、それでみんな失敗している。何故なら、
みんな乗っていないからです。皆で失敗すれば、それも失敗ではなくなるような気がする。そういう事
だろうと思います。でも、それじゃ、あまりにも個性が無い、自分が無い。確かに高い買い物なので、
気持ちはわかる。でも、ちょっと勇気を出して、自分の本音がどこにあるのか、探し出していただきたい。

スポーツカーのようなヨット、これは将来絶対増えてくると思っています。何故なら、日本人はヨットに住ま
ないので、それなら走った方が面白いからです。それにクラシックなデザインのヨットも流行るでしょう。
これは感です。それにデイセーリングとシングルハンドがまざってくると思っています。つまり、日本人に
とって、ヨットをマリーナにおいたままで遊ぶというスタイルは、苦手だと思うからです。社交性の問題かも
しれません。それなら、もっと、もっと手軽にセーリングを楽しめる方が絶対に合う。それに日本人の美意識
は高いと思いますので、デザインの美しさ、そういうものも選ばれる。

豪華な設備のあるギャレーで造るのはラーメンかコーヒーを入れるぐらい。豪華なベッドはめったに使わない
ので、荷物置き場になっている。日本人は礼儀正しいので、ゲストを厚くもてなします。ヨットにゲストを呼ぶ
時は豪華な食事、でも事前に家で用意する。これは大変な作業を伴うので、そうそうめったにはできない。

何と言っても、最も大切な事は気軽である事です。遊びですから、気軽でなければ遊べません。気軽に
人を呼んで、コーヒーとおしゃべりでもてなす。気軽に2,3時間のセーリングとおにぎりでもてなす。これに
何の不足があるでしょうか。呼ばれた方も気軽にもてなされれば、気軽に楽しめる。そうでなければ、また
載せてくださいとは言っても、気軽には来れなくなります。気軽に、セーリングでもてなすとは最高のご馳走
を勝る、厚いもてなしではないかと思います。

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