第七十三話 デッキアレンジ
| デッキに装備されているブロックやシート類のリードは、それが最も使いやすいという方法で あるわけではありません。一般的ではあるかもしれませんが、決まりでも何でも無く、それを 元に、後は自分が使いやすいようにアレンジしても良いわけです。一人で乗る場合と二人 或いはそれ以上ではアレンジの仕方も違ってくる。従って、自分の乗り方で変更するのが良 いはずです。所詮、ブロックやデッキオーガナイザー、カムクリート等は、デッキに設置して あるだけですから、それを移動させると穴が残るという問題はありますが、長い目で見ると、 使いやすいアレンジというのは、必要なことであり、その方が快適に使えるという事になりま す。 今のヨットは殆どが同じようなアレンジがなされています。でも、ひとつひとつの艤装の機能 とどういう時にどんな風に使うかを考えれば、それがどこに配置した方が良いかが解ります。 そして、それを考えていくのも楽しい作業のひとつではないでしょうか。 あるヨットのアレンジを頼まれています。年配の方ですので、楽にできるように、それにシング ルでも操船できるように、そういう要望です。ヨットの操船で結構しんどいのがメインセールを 上げるという作業でしょう。特にフルバテンの場合、ある所からウィンチを回すのがしんどくなる。 最後まで上げてテンションを充分かけるにはかなり力が必要です。年とってきますと、これが 特にきつい。それで、最近では電動ウィンチという事になってくるのですが、新艇ではファーラー にするケースが多いですね。まだまだマストに巻くタイプの方が多いですが、ブームファーラー も出てきました。マストファーラーはセールを上げるという行為が必要なくなる。これが魅力の ひとつなのでしょう。それも確かに一理ありますね。ブームファーラーは、セールを上げるという 行為が残る。双方にメリット、デメリットがありますが、私個人的にはブームファーラーを支持しま す。何と言っても、セールがよりパワフルであり、ヨットがどんなに楽にセーリングしようとも、セー リングをより楽しむという点ではブームファーラーに軍配があがる。それだけではありません。 もし、万一トラブルがあっても、ブームファーラーは手が届く範囲であり、それにトラブル時でも セールを降ろす事ができる。マストファーラーはセールがかみこんだりした場合、手は届かない 高い位置であり、セールを降ろす事もままならない。ただ、セールを上げるという行為がブーム ファーラーには残りますが、これは電動ウィンチでも採用しましょう。電動ウィンチは非常に高い のですが、１０年以内くらいのウィンチであれば、今あるウィンチの下にモーターをつけて電動に する事も可能です。或いは、ウィンチを電動ではなく、ウィンチハンドルの電動もありますので、 これも一案でしょう。実はまだ使った事ないのですが、一度試してみたいもんです。これでメイン が楽に上げられれば、かなり良いのですが、それにジブシートウィンチにも使えれば、トリミング が楽になりますので、ちょっと引くとか、リリースするとか、今まで、もういいやとおもっていたのが やる気持ちになれば結構ですね。 ラットの位置、それを握って、ハリヤードのリード位置とか、ストッパーをどこにどう付けるか。いろ んな道具で、自分流のアレンジを楽しんでみるのも面白い。 |