第八十一話 航行区域
通常のプレジャーボートの場合、航行区域を沿海又は限定沿海としていましたが、沿海の場合 安全備品が多く、高価、という事もあって、検査が来ると限定沿海に落とす艇が多かったもので す。そして、限定沿海では入らない海域に行く時は小型船舶の臨時検査を受けて、臨時の航行 区域の書換えを行っていた。これも1ヶ月が限度です。 ご存知の方も多いと思いますが、昨年の11月に規則が改正され、従来の限定沿海を航行区域 に持ち、同時に陸岸から5マイル以内という範囲なら日本一周できるという区域が新たに設定 されました。嬉しい事に、これに伴う安全備品は多くはありません。 ラジオ、コンパス、海図、双眼鏡、そして小型船舶用火せん2個(但し、携帯電話を持っていれば 1本でOKです。これだけの安全備品を揃えて、小型船舶の臨時検査を受ければ、限定沿海の 航行区域プラス、沿岸5マイルを取得できます。例え、日本一周しなくても、例えば、通常の限定 沿海で島の一部にかかった場合、この5マイル区域を取得しておけば、その島全体を回る事が 可能となりますので、取っていて損は無いと思いますね。 海外では船によって、航行区域を設定しています。湖用とか、内海、コースタル(沿海)、外洋、 そしてオーシャンです。オーシャンは世界一周OKです。こういう船の構造やいろんな設置方法 とか、スタビリティーとか、そういう事で航行区域が設定されるのは、納得しやすいです。日本の 場合、船の構造等では無く、安全備品に重点が置かれています。もちろん、構造を無視している わけではありませんが。 それに定員というのも、12名までは一般的ですが、これも25フィートでも、50フィートでも同じ。 何かの理屈をつけて15名とかできますが、でも、12名が一般的です。何人乗りですか?とか 聞かれる時がありますが、的確な答えができないです。 それも、日本の法律ですから、守らなければなりません。しかしながら、今回の規制緩和のように もっとプレジャーボートに対して認識が高まり、納得いくような航行区域の取り方、定員の設定、 安全備品の義務等々がなされるようになればと思います。現状の規制が納得できるものではない かもしれませんが、これはまだまだ日本がヨット後進国だからでしょう。 ヨット先進国になるには、ヨットがもっと普及しなければならないし、オーナーが自己責任を認識し 安全を守る必要がある。ヨットは大人の遊びとして、ゴルフのようにジェントルマンのスポーツにな る事が必要です。ルールに不満を漏らすだけではいけませんね。いずれにしろ、自分の命を守る 為ですから、自分で考えた方が良い。 |