第三十一話 未知なるもの

知らない事には興味が沸いて、知りたいと思う。しかし、同時にどんなものであるかと不安も
沸いてくる。何か新しい事をしようとすると、そこには今までには無かったエキサイティング
な何かが現れるかもしれないし、或いはその逆で失敗したと思うかもしれない。いずれにしろ
人が生きていると、何かをしなければ退屈になる。だから何かをしようとする。成功したり失敗
したり、でもそれがあるから生きていると言えるのかもしれません。失敗を恐れては何もできな
いと言われます。何もしなければ失敗も無いかもしれない。でも、退屈なのです。退屈こそが
最大の敵です。それが最大の失敗となります。

シングルハンドのデイセーリング、それに相応しいヨット、こういうのはなかなか踏み込めない
人が多いです。それで、多くの方々がみんなと同じように行動しようとして、同じように失敗して
いるのではないかと思います。これもみんなと同じ失敗ですから、失敗に見えない。そう思い
こんでしまうという、これまた困ったことです。たくさんの動かないヨットを見る度に、もっと違う
乗り方、考え方を持てば、多くの方々が楽しめるようになるのではないか、そう思って、どういう
乗り方が良いかを考えてきました。その結論がシングルハンド、デイセーリングです。これなら
誰でも、その気になればできる乗り方です。

遠くを目指したい方は目指せば良い。レースを楽しみたい方はレースをすれば良い。クルーが
たくさん居る方はみんなで乗れば良い。でも、どれにもあてはまらない多くのクルージング派と
称する方々は、遠くに行くでも無い、セーリングに出たいが、クルーが思うようには来ない、
家族が以前のように来なくなった、遠くに行きたいが今は忙しくて時間が無い、そういう方々に
お奨めしたいのがシングルハンドのデイセーリングです。ところが、ヨットがでかいとそれもなか
なかできない。ところが、それ用のヨットというと、キャビンが狭い。

全てを充分に満たすヨットはありません。それで、妥協をしなければなりませんが、それをどこ
でするかです。できる事で最も優先したい事には妥協はできませんが、それを優先したなら
他の部分には妥協が必要です。それができなければ、実行できないか、相変わらず今まで
通りの失敗には見えにくいが実は大きな失敗となる事を繰り返す事になります。

それで一歩進んで、新しい道に向かうと、未知なるものへの不安で、ひょっとして失敗しないか
と不安になります。でも、ご心配無く。その一歩は大きな成功になる可能性を持っている。例え
それが失敗だと、後で思ったとしても、それ以前の失敗よりも大きな意味がある。もう一度、
考えるでしょう。一体、どうしたら最も楽しめるのか?慢性的な失敗に見えない失敗を繰り返す
よりは、遥かに意義があることで、これは成功への道でもある。だから、何も心配する事は無い
んです。いろんな環境の変化、そういう事で、やり方をシフトする時に来た時、そして、私の提案
するシングルハンドに興味が沸いた時、それをする事は未知なるものへの挑戦です。挑戦の
結果はいろいろあるが、挑戦した事が成功なのです。その後に、結果として、これでよかった
と思う成功があるかもしれない、或いは、これは自分には不向きだったという失敗と思える事が
あるかもしれない。でも、全てに人が最初の挑戦という成功を得ているし、次の結果の事は、
これまでの退屈さを繰り返すより遥かにましだし、それにこれで何かを得たはずです。という事
はこれも見方を変えれば成功ともいえる。こう思えれば失敗はありえない。

表面上良い結果だけを期待するなら、実は面白くも何とも無くなる。結果、成功を期待するも、
失敗も受け入れて、なにかを得るという姿勢でいけば全てが成功となる。長いスパンで考えて
いけば、短期的に失敗と思える事も、成功へと繋がる。簡単な話、何をするか、よりもどう考える
かの方が重要なのでしょう。

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