第四十二話 ショート&ロング

日帰りのデイセーリングから週末のセーリング、また、年に1回か2回でも、沿岸沿いの1,2週間
のセーリング、こういう使い方は一般的だと思います。最も使えるやり方だと思います。1年間の
殆どは日帰りのデイセーリングとなりますから、こういうデイセーリングにはセーリングそのもの、
帆走をおおいに楽しむという事が大切です。勉強して知識を得、それを試す。そして経験から得た
事を次のセーリングにまた試す。こうやってセーリングの奥深くに一歩づつ入って行く事をお奨め
します。そうしますと、セーリングの本当の面白さが解ってきます。

実際、集中して帆走しますと、そうそう長時間は乗れません。疲れてくる。逆に言いますと、2,3
時間でも充分堪能できるくらいです。そう、1日、目一杯走らなくても堪能できます。2,3時間程度
なら、そうたいそうな準備は不要になりますから、気軽に出せるようになる。これが大事な事です。
気軽に出せれば、しょっちゅう出せる。場合によっては、1日2回出す事もできる。気軽であり、
それでいてセーリングには集中します。こういう乗り方はスポーツです。日頃は、スポーツセーリン
グを堪能してはいかがでしょうか。

こういう乗り方でも、ちょっと足を伸ばしたくなる事があります。1週間とかのまとまった休みで、
ちょっと足を延ばしたくなる。こういう時は目的地が設定されますから、目的地を設定したとたんに
セーリングはままならなくなります。目的地の方向と風向きの具合による。こうなると、割り切って
エンジンを使う。そして、島に渡って、しばしクルージングを楽しむ。それで良いと思いますね。

そういうヨットには帆走性能の高いヨット、クルージングだけれどもある程度走るヨット、操作して
トリミングして、それなりの反応を見せてくれるヨットがお奨めです。こういうヨットでも、ちゃんとキャ
ビンは充実していますし、ギャレーも温水も、一通りの物はあり、充分以上でしょう。こういうヨット
の方が通常のセーリングにおいて面白い物になります。

さて、ロングに行きます。1ヶ月以上のロング、そうなると選択するヨットは異なります。セーリング
というよりエンジンが主体になります。パワーのあるエンジン、重めの排水量、柔らかい乗り心地
頑丈な船体、等々が必要になります。パワーのあるエンジンは納得でしょう。重めの排水量は
積載荷物が多くなるからです。それに長期で乗りますと乗り心地も重要、そうでない物は疲れて
しまう。そして、時化に強い頑丈なヨットです。頑丈さは、安心感がある。

ロングキールのヨットは実に波あたりが柔らかい、まさしくロングクルージングに向くヨットです。ただ
ロングをどの程度行くかによって、選択は異なる。本格ロングならこれは良い選択です。ロングキール
はキールそのものが舵だと考えれば、ほっといても真っ直ぐ走ってくれるのはありがたいです。でも、
反面細かい動きは苦手ですから、ショートにはちょっと扱いにくいのと、セーリングの面白味という点
では帆走性能の高いヨットには負ける。

ショートはもちろんロングであっても、沿岸沿いなら、ロングでも良いですけど、フィンキールの方が
扱いやすいと思います。但し、どちらにしても、重心の低いヨット、ショートのセーリング主体でも、
ロングでも、重心の低いヨットは実にありがたいのです。重心の高いヨットは疲れるし、だいたい
コンセプトがセーリングするとか、エンジン使うにしてもロングとかは想定していないのではないかと
思うくらいです。日本は結構波の高い所ですから、重心の低いヨットは乗ってみるとありがたいのです。
重心の高い、つまりキャビンを大きくしたヨットは、住む為のヨットだと思っています。

パイロットハウスのヨットがありますが、これらも、余程キールを重くするか、全長の長いヨットなら良い
でしょうが、そうでなければかなり荒れた時はしんどいのではと思います。センターコクピットも同様で
しょう。まあ、多分最低40フィートぐらいはあった方が良いと思いますね。

シングル、或いはダブルハンド以上か、ショート主体かロング主体か、そういう観点で考えてみる事を
お奨めします。ちなみに、当社扱い艇はそういう観点で考えています。

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