第四十八話 イタリア
イタリアと言えば、デザインの国、フェラーリ、サッカー、ファッション、女好き 遊び好き、いい加減、話好き、陽気、etc そんなイメージがあります。それに 規則に捉われない。 フランス人は禁止されている事以外はやって良い。ドイツ人は許可されている 事以外やらない、イタリア人は禁止されている中でもやって良い事もありそうだ という話がある。 スローフードというのが日本でも流行ったが、あれはイタリアから来たらしい。 その季節に取れる収穫物以外には食べない。面倒くさいからかもしれないが それが自然でもある。おしゃべりに時間をかけ、食事に時間をかけ、とにかく いまわの際に楽しかったと言える。それが人生、というのがイタリア人らしい。 経済一辺倒で働く日本人、そういう観点からすると全く180度逆の生き方を 持つ人種のようだ。でも、そういう日本人だって、いまわの際には、”ああ、楽し い人生だった”と言いたい。 そんなイタリア人だからこそ、デザイン感覚が優れてくるのかもしれない。 確かに、イタリアンデザインというのはどこかが違う。真似のしようも無い、特性 がる。かつて、ローマ空港だったか、内装が殆どがグレーで統一されていた。 その中に全ての椅子が鮮やかな黄色だった。こんな事ができるのかと、感心 したものです。 かつて何度かイタリアに行った事がありますが、確かに日本ほどきちんとして いない。いい加減さがある。でも、それに慣れると、まあ、慌ててもしょうがない か、と思い、それが逆にこちらをのんびりさせてくれる。話をすると、まあ、良く しゃべる。話が止まらない。ある日、車で空港まで送ってもらった。平均時速 160kmぐらいですっ飛ばしながら、一時間半、ほとんどしゃべりっぱなし。時々 ハンドルから手を離して、身振り手振りで話すもんだから、ひやひやもんです。 でも、別の側面もある。納期の近付いた艇を見に行った事がある。それに不具 合があった。夕方になっても終わらない。でも、彼らは夜中までかかって、翌朝 にはちゃんとなっていた事がある。イタリア人もこんなに働くんだと感心した事 があります。また、別の造船所での事、契約時に何月何日納期とある。通常、 契約時にはだいたいの納期は言うものの、文書に記載される事は無い。イタリア だけでは無く、世界中そうだ。ところが、このイタリアの造船所は何月どころか、 何日とまで書いてある。もちろん、最初は信じなかった。でも、きっちり、その日 に出荷されたのは驚いた。こんなに管理された造船所も珍しい。 イタリアをひとつのイメージで捉えるのは間違いの元。良く働く事もあるし、きっち りしている事もある。 何でもあって、何でも便利という日本とは違う。しかし、どっちが楽しんでいるか と言えば、イタリアに軍配があがるだろう。とは言っても日本人には真似のでき ない事、ならば、その一部でも真似して、人生を楽しんでみてはどうだろうか。 電車が時刻通りに来るのは便利なもんです。でも、1,2分遅れただけでいらいら してくる。最初から、時刻通りに来ると期待していなければ、ゆったり過ごせる。 せめて、遊びの時間ぐらいは、こういうのんびりさができれば良いと思います。 |