第九話 再び、FUN へ

FUNというのは面白いという意味ですが、ヨーロッパの雑誌の編集長が寄せた記事に
”突然、あなたのヨットが再び純粋なFUNになる”というのがあります。
家族が居た頃は寄り大きなスペースが必要だった、でも今は子供たちは家を離れてし
まった。もはや大きなヨットは必要無くなってしまった。それに、マリーナの保管料やメイ
ンテナンスの維持を考えると、それは悪夢である。

流れに何か変化はあるだろうか?海の向こう側には、確かにデイセーラーのマーケット
が大きくなっている。彼らは、大きなヨットからデイセーラーに乗り換えている。そして、
ここ欧州でも同様の動きがある。

それらはかなりシンプルで、マリーナに来て、数分で出られる。それに保管料は安いし
メインテナンスだって簡単だ。これで、ヨットは、海で過ごしたと同じくらいに時間をメイン
テナンスにかけていた、複雑で大きなマシンから、再び純粋なFUNとなる。

確かに、デイセーラーは外洋には行けないかもしれない。キャビンで真っ直ぐ立てない
かもしれない。ちょっとしたコーヒーやお茶を入れる程度のシングルバーナーのコンロ
程度しかない。冷えたビールの為に冷蔵庫も無い。しかし、これらデイセーラーは確かに
ある種の主張がある事を認めざるを得ない”。

どうでしょうか? ヨーロッパにもアメリカと同じようにデイセーラーの波が来ています。
経済の発展とともに、ヨットはどんどん大きくなっていった。今でも、メガヨットがたくさん
あるし、メガヨット専門の造船所もかなりある。そういう中で、新しい流れがおきています。
もっとシンプルに、気軽にセーリングを楽しもうという動きです。ヨーロッパと言えども、
実際に外洋にまで行く人は少ない。家族で近場をクルージングするか、別荘として使うか
そういうケーズが多い。その為に、多くの保管料を払い、多くの時間をメインテナンスに
費やしてきた。でも、気が付いたら、家族は成長し変化がおきている。特に、戦後に生ま
れた世代が引退の時期を迎え、その動向は大きい。

日本ではデイセーラーは全く流行っていません。でも、事情は同じなのです。特に、欧米
人のように別荘としてつかいきれない日本人ならば、もっともっと早い段階でデイセーラー
が流行るべきんばのではと思うのです。まして、実際乗るのは殆どがデイセーリングなの
ですから。それに保管料は欧米以上に高い。ただし、メインテナンスにはそれほどお金も
時間もかけてはいないようですが。

そして、複雑で大きなマシンから、シンプルで小さなデイセーリングに変わる時、純粋な
FUNになると言います。同感です。ただ、ヨーロッパでも同じですが、ただ小さいというので
は無く、小さいけれども美しく、存在感のあるヨット、強烈にスピードの出るヨット、そういう
主張がアピールされます。

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