第九十八話 ヘッド

トイレには電動式とマニュアル式があります。もうひとつバキューム式というのも
あります。飛行機のトイレと同じ方式です。一般的ではありませんが。流して良い
物はトイレットペーパー、一般的なティッシュは詰まりの原因になります。
マニュアルの場合、操作をあまり知らない方が力任せにやると壊れる事が多い
ので、電動式にすると、誰が押しても同じパターンでポンプが作動しますから、
ゲストが多いヨットには良いかもしれません。

昔、トイレが海水面より下に設置されていたヨットがありました。バルブを開けて
いると、便器の上側すれすれまで自然に海水が溜まる。それに気がつかずに、
セーリングして、トイレは海水があふれていました。バルブを閉めておけばよかっ
たのですが。今では、ホースを一旦高く持ち上げ、そこにエアーベントをつけます。
このエアーベントはトイレからの圧がある時は弁がしまり、圧が無くなると、弁が開
いてそこからエアーがホースに入る。つまり、海水の侵入防止です。サイフォン現象
によって、外の海水が中に入ってくる。海水面が高いと同じ高さまで入る。トイレが
高い位置なら良いが、通常はそうでは無いので、こういう装置が必要です。

アメリカではトイレのホールディングタンクというのが義務づけられています。岸から
何マイル以内に汚物を捨てては罰金です。それで、タンクに溜めておいて、マリーナ
ではバキュームで吸い取る。或いははるか離れた沖で捨てる。その為のポンプが
メースレーターポンプと言います。日本では法律の規制がまだありませんが、この
タンクに溜めると匂いが来る。臭いです。

臭いにおはこれだけでは無い。トイレを使わないとホース無いにたまった水が匂ってくる
これも臭い。時々はトイレを動かしてやらないといけません。

トイレはシャワー兼用というのが多いですが、このシャワーの排水経路、ビルジに流れて
いくのもあれば、ポンプで直接排水するのもある。いずれにしろ、どこを通って、どういう
排水になっているかを知っておく必要はあるでしょう。

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