第五十話 セール、ロープ&ステイ

セールもロープ類も消耗品と考えた方が良いのですが、破れないし、切れないので
そのまま使うというケースが多いです。でも、かなり扱いにくくなっているのがあります。
一度に全部換えるのが大変なら、少しづつ新しくしてください。ロープ類でも、全部換え
ようとしますと、全部で200mぐらいすぐに使ってしまいます。各ハリヤード、シート、
バング、その他、長さを計算してみてください。きっと驚かれるでしょう。

切れないにしても、硬くなったロープは非常に扱いにくいです。硬く無いにしても、良く
あるのがジブハリヤードの問題です。ファーラーでジブセールは上げっぱなしです。
つまり、ジブハリの同じ部分がマストに入るシーブの所でいつも摩れています。それで
めったにセールを下ろさない。シーブの所で摩れて切れ掛かっているのがあります。
全体の見た目はきれいなのに、そこだけ摩れている。見えないので、切れるとは考え
ません。その点、メインは上げ下げしますので、どうしてもその時に目にとまりますので
自然に気が付きます。交換する時は古いハリヤードに新しいハリヤードをテープで巻い
て繋ぎ、入れ替えします。その時、この繋ぎが切れないように要注意。切れてしまうと
マストに登らなければならなくなります。それとハリヤードは長めにする。先ほどの擦れ
によって、長さに余裕があれば、そこだけ切って対応できますが、ぎりぎりだと、切ると
短くなって、全部交換という事になりかねません。ロープ交換は実用性もありますが、
見た目にもきれいになりますので、汚いロープはきれいなロープに交換してリフレッシュ
してください。

セールは破れるまで使える物ではありますが、徐々に伸びてくるので、気が付かないか
もしれませんが、かなり乗りにくいヨットにしてしまいます。性能的にスピードが落ちると
いうだけなら、クルージング派の方々はそれでも構わないと言われるかもしれませんが、
艇速だけでは無く、のりにくい物になっています。伸びたセールは丸く深いドラフトになって
位置もままならない。そうなるとヒールが大きくなります。それに対応する為に風を逃がす
事になります。つまり、上り角度が悪くなるか、せっかくのグッドフィーリングを得る前に
風を逃がすか、強風でいつ破れるかの心配をしなければならなくなるか、良い事は何も
無い。ですから、できればセールも交換しますと、乗りやすくなります。セールが高いと
言っても、15年、20年、使ってれば充分元は取ってるでしょう。

ステンレスワイヤーのスタンディングリギン、ステイですが、これはそうそう交換は必要ない
と思いますが、束になってる一本一本の細いワイヤーが1本でも切れていれば、交換、
それと張り具合を点検して、これは他のヨットがどのくらい張ってあるか比べて、締めなお
して下さい。緩んでいるのも結構あります。厳密にどのくらいの力というのは無いんですが
だいたいで結構かと思います。但し、左右均等にすること。左右均等を確認して、真っ直ぐ
たっている事を確認後、もっと締める場合は、ターンバックルの回転数を左右きっちり同じ
にすることです。マスト前後はフォアステーとバックステー、バックステーにアジャスターが
あればこれでテンションかけられますが、無ければ、マストが真っ直ぐからやや後部へ傾斜
しているくらいといわれます。でも実際は、走って、ウェザーが強すぎるなら少し前へ、逆に
少しウェザーをつけたいならマストを後部へと前後のステイの長さ調整をします。ついでな
がら、ターンバックルに最後はビニールテープを巻いて、割りピンなどで怪我したり、セール
やロープを引っ掛けたりしないようにしますが、ターンバックルの中に水が溜まらないで、抜
けるように、下側には水の抜けるスペースを残した方が良い。水が溜まると電食を促進しま
す。

これでだいたいのメインテナンスは終了、後は電気関係、これは難しい、見ても解らないの
で専門に任せる。でも、少しは勉強した方が良い。テスターの1個置いておくといざという時
役に立つ。通電のあるなしとか、断線とかは判定できる。

ついでながら、清水ポンプですが、電動の場合、アキュムレータータンクがあって、この中で
圧を溜めます。溜まったら自動的に清水ポンプが停止、水を出すと、圧が下がるのでまた
自動的にポンプが作動します。ポンプがいつまで経っても止まらない時、タンクに水が無い
か、或いは、どこかのつなぎ目で水が漏れているかです。漏れてれば圧は溜まらない。それ
でタンク内の水を点検する。つなぎ目の漏れを点検する。まあ、全部漏れても、タンク内の
水ですから、それ程慌てる事は無い。沈むような事は無い。最も注意すべきは海水です。
海水は無尽蔵、これが入ってくるなら沈む事だってあり得る。ですから、水漏れがあったら、
舐めて、海水か清水かを判定して下さい。海水なら、侵入経路は決まってますから、そこを
すぐに点検して、大事になる前にどこからなのかを探します。

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