第八十五話 ヨットVS.モーターボート

市場規模を見ますと、圧倒的にモーターボート市場が大きい。ヨット1に対してボート
は20、1:20ぐらいの割合です。何故そうなるかは、使い方の違いがある。ヨットで
は船外機は嫌とか言いますが、ボートでは船外機を使った小さな釣りボートなどたく
さんあります。長さ5mから7mが圧倒的に多い。ヨットで言うなら21フィート前後です
ヨットではこのサイズは圧倒的に少なくなっています。ボートではこのサイズでは居住
性というより釣りに対する実用性から来ていると思います。

ヨットではセーリングを実用性と考えるなら、セーリングはそこそこでも居住性という
考え方が多くなってきたので、21フィートぐらいでは居住性が低いので支持されなく
なってきた。でも、ヨットもボートも、実用性という意味では最も稼働率が高い。釣りを
したいからボートで出る。ヨットもセーリングしたいからと思えば稼働率はもっと高まる
と思います。実際、稼働率の高いのはセーリングを楽しみに出ている人達です。

ヨットでは実際居住性が高まってきた頃から稼働率はどんどん下がってきたような気
がします。それでウィークエンドにみなさんヨットに泊まっているかと思えば、殆ど皆無
に近い。へたすると船旅に出てもホテルに泊まる人達も少なくありません。という事は
キャビンはほんのひと時を過ごす空間になっています。この部分においてはボートも
同じではないかと思います。大きなボートほど動いていない。せっかく買ったんですから
ヨットの醍醐味をもっと味わって、面白いヨットライフを演出して頂きたいと思います。

それでキャビンが要らないなんて無粋な事では無く、セーリングはそこそこでと言った
のをキャビンはそこそこでもセーリングが面白いのが良い、とこうなってくれれば、セー
リングが堪能できます。そこそことは言っても、どのヨットでもかなり充実したキャビンを
持っていますので、好みのデザインでさえあれば良い。後は、造りの品質を見る事と
セーリング性能を見る事になるでしょう。そうすると、ヨットの稼働率は上がってきますね
今日は風が無かった、今日は良いセーリングで良く走ってくれた、どうもウェザーが強
すぎる、舵が重い、バランスが良い、そんな話題が多くなる。

そうなるとクルージング艇と言えども古いセールでは良い走りができないから取り替える
とか、ここにブロックを設置して、こっちから引けるとか、そういう工夫をしたくなる。船底
がきれいじゃないと面白く無くなる。乗れば自分の使い方が良く解るし、船の良し悪しも
解ってくる。波にバンバン叩くヨット、波に柔らかいヨット、速い、遅い、腰が強い弱い、
いろんな事が解ってくる。おまけに腕も上がる。

不思議なもので、セーリングを楽しむとキャビンも楽しめるようになるもんです。多分、
ヨットに対する気持ちに余裕が出てくるのではないかと思います。船旅も同じだろうと
思います。キャビンを楽しみたいなら、船旅を楽しみたいなら、日常でセーリングを楽しむ
事が全ての始まりではないかという気がします。釣りボートが釣りをしたいが為に、あの
釣りというエキサイティングな感覚を得たいが為にボートをだす。これと同じように、あの
セーリングのエキサイティングな感覚を得たいが為にヨットをだす。釣りの興奮を知ってい
る人達は多いのですが、セーリングの興奮を知る人は少ない。それを知るにはセーリング
するしかない。魚という成果が無い実にあいまいとした、つかみ所の無いものですが、一旦
味わってみるとその面白さは抜群です。レースでもありません。ただ、セーリングに専心して
みると解ります。是非、セーリングを何度もしてみてください。専心してみてください。すると
これまで必要と思っていた物とそうでない物が変化してきます。冷蔵庫つけるよりシートを
取り替える。エアコンよりセール、そういう風に意識が変わると思います。もちろん、両方つ
けても構いませんが。

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