第八十八話 未来のヨット

電動ウィンチとかメインファーラーとかが珍しくなくなってきた今日、ひとつは電動化の
流れで、オートマチック化がもっと進むと思います。電動ウィンチだけじゃありありませ
ん。メインファーラーやジブファーラーそのものが油圧式で巻き取りなどのロープ類が
無い。そのものがスイッチひとつで回転します。大型艇はすでにそうなっています。
そして既にご紹介しましたシートの出し入れ、メインセールトラベラーの左右の動き、
これらもみんな油圧式でスイッチひとつ。ステアリング持って、その位置から全ての
セールトリミングがスイッチ押すだけでできるようになる。もうハッスルは不要という
わけです。

そして当然ながら、この反対側に位置する全てマニュアルでやるのが良いというのも
あって、多分こちらはクラシックなスタイルをキープし、感触を楽しむ人達も居ます。

エンジンは今のところプロペラ式ですが、ウォータージェットなんかですと、プロペラに
ロープ巻いたりしないので、これも大いに助かりますね。それにエレクトリックのエンジ
ンが出てくる。実は既にあります。既存のヨットにこのエレクトリックエンジンを設置し
たヨットがあります。かつていろいろ調べたのですが、たくさんのバッテリーを積み込ん
で、充電をどうするか、満タンなら1日ぐらいはゆっくり遊べるようなのですが、まだちょっ
と物足りない。これがすごいバッテリーなりができてきますと、良いですね。

マリーナからの出し入れも簡単になる。どういうしかけかはまだ解りませんが、艇が真横
斜めに自由自在に動かす事ができるのが既にあります。

それから、ファーリングのジェネカーもこれはこれで便利なのですが、マリーナに帰って
きていちいち下ろすという作業が不要で、ジブファーラーのようにつけっぱなしできたら、
これも良い。

カンティングキールというキールそのものが左右に振ってコントロールできるのが既に
ありますが、スタビリティーという面では非常に役立つ。でも、高価ですね。この間のレース
ではトラブルで棄権していたようです。

でも、まあ、進化するのは良いんですが、セーリングという原始的感覚だけは残しておきた
いものです。それこそが、セーリングする動機なんですから。ヨーロッパでコンピューターを
駆使したヨットがあり、ボタン1個押せば、全てオートマチックというのがあります。全てです
オーナーがするのはステアリングを切るだけ。後は全部コンピューターがやってくれます。
セールのトリミングから、セールのリーフ、角度、全部やてくれる。でも、ここまで行くと、どう
かな、それこそオートパイロットまで働かせると、何にもしないで良い。でも、何もしないなら
ヨットの面白さは無くなる。何もしないのでは無く、何かをしにいくわけですから。そして、本当
は便利さも大切ですが、自分が主体的に何かをすればする程、自分が働きかけた程、その
得られる反応には感激のレベルが違う。便利さを味わいにいくのでは無く、セーリングの感激
を味わいたいのですから。そこそこまでにしおいてほしいですね。

次へ     目次へ