第七十五話 メリット

例え、外洋にまで出ないとしても、そのメリットは充分にあります。まずは強固な船体、これは船体の寿命が長くなりますし、ひいてはトラブルも少なくなります。低い重心というのも沿岸セーリング中でも時化られた時は安心です。さらに、最近の外洋艇は、日常のセーリング時においても使いやすく考えられていますので、お薦めです。10年、20年、30年と使っていくうちに、その差はどんどん出てきます。デメリットは価格が高くなるという事になります。でも、その差は長い目で見れば充分価値があると思います。それに再販価格も高くなる。

もちろん、沿岸セーリング程度であれば、一般のヨットでも充分でしょう。ただ、それでも、強度のあるヨットはドライブ感が異なりますし、それだけの事はある。最近の外洋艇は外洋をこなすかたわら、日常でのセーリングをも考えられていますので、バランスの良さや時化への強さなど、たくさんのメリットがある。予算があれば、是非こういうヨットをお奨めしたいですね。

外洋に出る上において、100%これで良いという事は無いかもしれません。でも、どこまで求めるかはオーナー次第という事になるでしょう。昔はロングキールでなければならないという考えでしたが、後、フィンキールのヨットで外洋に出て、実際の安全性が証明されました。しかし、それでも、ロングキールの方が安全性は高いとも言える。フィンキールでも設置の仕方など充分配慮されれば
直進性は良いし、バランスも良い。でも、例えば、流木に当たったとか考えますと、ロングキールの方がもっと良いという事にはなるでしょう。ただ、反面、日常のセーリングという部分も考えてきますと、ロングキールには練習が必要ですし、なれた方はどおって事無いかもしれませんが、フィンキールの方が取り回しはし易い。

材質についても、少し書きます。外洋艇を建造するには、それなりの手間がかかる。という事はコストもかっかってきます。それで、こういう少し高いヨットにはまた他との差別化を図る為、材質にも配慮され、樹脂がビニルエステルであったり、グラスが違っていたり、キールボルトが太くて、数も多く、こういうちょっと上のクラスを求める方々は初めてのヨットというわけでは無いので、ヨットの事も詳しいですから、そういう質の面での配慮もなされている。造りが違う、家具のたてつけが違う
トータルで違う。これらはみんな職人の手が入る。腕の良い職人です。ですから、価格的には大量生産艇を基準に考えますと高くなります。しかし、ヨットに限らず、家具なんかでも良い物は手間がかかってますから、仕方が無いとも言えますが、その分の価値は充分にあると思います。一見見た目は同じでも、中身は全く異なる。

 左のヨットはロングキールです。このヨットの
 復元性は驚異的なのです。

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