第36話 催眠術

いきなり奇妙な題名ですが、先日、催眠術をやっていました。普通の男性があなたは
プロレスラーです。と、催眠をかけられたのですが、実際、それらしく振舞い、力も相当
強くなっていたようです。また、音痴のような歌のへたな女性に、あなたはプロの歌手
で今から皆の前で歌うと催眠をかけられ、実際に歌ってみると、かなり歌がうまくなって
いた。もちろん、実際のプロではないのでプロ並では無いものの、かなり通常より強か
ったし、うまかった。意識が変わると行動も変わる。考えてみると、我々は自分の意識の
          中だけで自分を規定していると言うことではないでしょうか。                          

昨今騒がれている北朝鮮もそうです。洗脳されているとか言いますが、いわば価値観
を規定され、それを自分の価値観だと思わされている。洗脳も同じようなもの、こちらは
長い時間をかけているので、簡単には解けない。                      

さて、我々日本人はどうでしょうか。我々は自由に考え、異を唱える事もできる。だから
我々はそうでは無い。と思っている。確かにそうなのですが、しかし、日本人の価値観、
日本人の常識、これらは子供の頃から教育されてきている。だから一定の共通した価
値観は日本人を規定している。これは極論かもしれないが、洗脳とも言えるかもしれま
せん。ただ、ある特定の人物が意図的にやったわけでは無いという事の違いです。  
つまり、先祖代々、過去から積み重なった考え方が我々にしみついているという事です。

大袈裟な話になりましたが、ここでヨットが登場します。我々がヨットに対する意識は、本当
は自分自身が持っている価値観では無いという事です。他人が経験し感じた意見の積み
重ねを自分の物だと勘違いしているだけなのです。だからと言って、無視するという意味で
はありません。他人の価値観を鵜呑みにしないという事です。自分のヨットは自分で決める。
そうすれば、もっとバラエティーに富んだ使い方も出てくるのではないでしょうか。      

レースはしないので帆走性能より頑丈で安全な方が良い。と言う方が実に多い。だから、
レーシングヨットか又はキャビンの大きさばかりを強調するヨットが多過ぎるような気がしま
す。クルージングだからと言っても、ヨットはヨット。セールで走るのです。ヨットが最もヨット
らしくあり、ヨットでなければ味わえない醍醐味はクルージングであろうとなかろうと、セー
リングにあります。このセーリングという本質を二の次にして、居住性ばかりを追うのは本
質からずれている。やはり、ヨットはセーリングを楽しむのが第一に来なければならないと
そう思うのです。単なる移動の手段ではその醍醐味は味わえない。             

だからと言って、レーシングヨットをお奨めするわけではありません。クルージングヨットで
もセーリングを第一に考え、もっとスポーツ的に楽しむヨットも増えてしかるべきではない
でしょうか。或いは、もっと他にも使い方、楽しみ方があるかもしれません。もっと自由に
本当に自由に考えられればと思います。と、このように洗脳したいのです。

レースもそうですね。もっと自由に皆が楽しめるレースがあっても良い。桟橋からもやいを
はずす所からスタートするとか。ルマンみたいですが。                    


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