第57話 心の時代
21世紀は心の時代と言われます。物質的には豊かになった。しかし、気がついて
みると心はちっとも豊かになっていない。これからは心の時代、心を癒す物が必要
とか言われます。ペットブームもそのひとつでしょうか?心を豊かにする物が望ま
れているとか言います。果たしてそうでしょうか。
20世紀は貧しさから脱する為に物質を造り、集め、身の回りを囲いました。しかし、
これでは満足しなかった。欧米に比べてゆとりが無いとか言われました。休みが少
ないから、もっと休暇を、家族と過ごす時間を、癒し系なんて言葉もあります。
でもやっぱり相変わらず物を求めている。これでは心は癒されない。物に求める限り
心は満たされないのではないでしょうか。ではどうすれば良いか?それは味わう事
ではないでしょうか。今まではご馳走が目の前に並べられた。しかし、並べただけで
味わっていない。ちょっとつまみ食いした程度。本当にご馳走がおいしいかどうか、
心から味わってみる事、そしてどんな感じを持ったか、自分の心を味わってみること
が大事なのではないでしょうか。
豪華なヨットを持った。ただ、持った瞬間は嬉しかった。でも味合わないと本当の事
は解らない。嬉しかった感情はやがて薄れてくる。これからは実際に味わう事だと
思います。その豪華さを味わう。走りを味わう。どんどん乗って、快適さを、爽快さを
緊張を、つらさを、とことん味わう。その感覚を経験する事が大切なのではないでし
ょうか。頭脳を黙らせて、感覚のみで味わってみる。物に対する感情は頭脳が造り
出した物です。本物では無い。物は手段であって目的では無い。目的は感覚、様々
な感覚を経験する事ではないでしょうか。これが心の時代に求められる事。快楽のみ
では無く、つらさも含めて何でもとことん味わって、その感覚から自分にとっての本物
が解る。
頭脳は何でも分析したがり、やる前に判断を下そうとする。でも、頭脳は長い間、外界
から善悪を植え付けられてきた。多くの情報は我々を洗脳し、善悪を植え付けてきた。
これからは、外界の影響では無く、自分の感覚を、経験から来る感覚を味わい、心から
わきあがる感情が本当の自分。そうしたら、心の時代とか癒しとか、そんな物は必要
無い。自分で何が必要で何が必要でないかが解る。心の時代とは、そういう事ではな
いでしょうか。
だから、ぐだぐだ考えずに、乗りましょう。セーリングしましょう。その感覚を味わいま
しょう。思考を捨てましょう。思考を捨てて、感覚に集中して、セーリングしましょう。
きっと、心は満足するんじゃないでしょうか。
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