第62話 遊びの工夫
何でも装備しているヨットだからといって、楽しいわけでは無いですよ。遊びに工夫が
あると楽しさは倍化します。前話で取り上げたオーナー達のように、不便は工夫で補う、
その工夫をユーモアで楽しめば実に面白い。それが遊び心というんでしょうね。既成
概念、常識など気にしない。そういう人の方が楽しんでおられます。
冷蔵庫が無いので、シンクに氷を入れて、そこで冷やす。これで充分持ちます。キャンプ
道具のお店に行くと、使える道具がたくさんありますね。電池やガス式の照明をもってきて、
もしエンジンが船外機なら、バッテリーさえ必要無い。夜間航行もしない。だから心配も無い。
スタンチューブから水漏れの心配も無いし、バッテリーあがりの心配も無い。これはこれで
良いんじゃないでしょうか。100円ショップで電池式の照明を買って、付けてる人がいました。
これ良いよ。ワンタッチ。付けっぱなしでも気にならない。
ヨットを特別な物と思うから特別に考えて、特別な装備をして、特別な夢を抱える。夢を持つ
事は良い事なのですが、執着しすぎると特別視しがちです。ヨットが身近に感じれば、身近な
物を特別には思わない。だから気楽に遊べる。気楽だからしょっちゅうセーリングに出かけられる。
不便な部分を機械ばかりで補おうとすると、ヨットは徐々に特別な物になってくる。特別になる
と気楽に出かけられなくなります。不便はできるだけ、遊び心の工夫で補ってはいかがでしょう。
極端かもしれませんが、ヨットはセールさえあれば走れるのです。単なる道具です。手段です。
セーリングを感じる事が目的です。ヨットに限らず、何でもそうですが、物は道具に過ぎないですね。
道具は持つ事が目的では無く、使う事、使って経験する事が目的ですから、道具のあらゆる部分
を完璧にしようとは思わない方が良い。その努力は本来の目的をおろそかにする危険があります。
道具では無く、経験こそが、人生を潤すのではないでしょうか。
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