第64話 続き

ある15年ぐらい経ったヨットに乗ったのですが、セールも15年前のままでした。見た目は
破れているわけではないので、使えない事は無いのですが、動けば良いという次元では
これで良いかもしれませんが、やはりいらいらさせられる時があります。島と島の間を真正
面の風でタックの連続で抜けたかったのですが、非常にストレスを感じました。セールが伸
びて、登れない。バックステーアジャスターなども無いので、サギングもひどく、これではオ
ーナーも楽しいどころでは無いのではと思いました。ヒールばかりして、前に進んでいるのか
という気になりましたね。

コンセプトの違うヨットに買い換えるなら良いのですが、そうでもなければ、今あるヨットを整備
して見なおされる事をお勧めします。

本当はセールを一番にもって来たいところですが、セールはヨットのメインエンジンです。クルー
ジングの方はどうも軽視しがちですが、セールが変わると、見違えるようなヨットに生まれ変わ
ります。今すぐ出来ない方も近いうちに検討されますよう。

ついでながら、セールの事を少々。良く言うダクロンは米国のデュポン社の商標です。同じ記事
で国産はテトロンと言っています。同じ生地でも性能は多少デュポンの方が良いと聞きます。価
格も少し高い。ケブラー/マイラーは高価で長持ちしません。性能的には優れているので、レー
サーは殆どこれを使っています。伸びが非常に少ないですね。ブローが来た時、ダクロンならセー
ルが伸びてドラフトが後ろに移動、ヒールが強くなり、シートを緩める。しかし、ケブラー/マイラー
は伸びが非常に少ないので、ヒールが増さずに、そのままスピードが上がる。こういう利点があり
ます。もちろん、ハリヤードの伸びも影響しますが。これに最近はペンテックスというセールが出て
きました。ダクロン繊維だそうですが、特殊加工し、伸びがかなり抑えられている。寿命も長いそうで
重量も25%ぐらい軽いようです。最近は一部のクルージング艇にも使われてきたようです。でも、こ
れは高い。ダクロンの倍ぐらいの価格しています。それに最近はカーボン繊維を使ったセールもあり
ます。黒いやつがそうですね。

クルージングではそこまでする必要は無いと思いますが、同じダクロンでもカットの仕方が違うのも
あります。クロスカットという最もベーシックなカット、トライラジアルというストレスがかかる部位を考慮
してカットしてある物、どこまでこだわるかはそれぞれですが、いずれにしろ、セールはメインエンジン
ですから、もう少し気にしましょう。



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