第7話 小型艇を考える(前話の続き)
何も無いシンプルなヨット、しかし美しいヨット。これが良いですね。キャビンは狭くても、別に大人数で寝泊りするわけではないし、宴会するならコクピットもある。それに宴会する為にヨットがあるわけじゃないし、宴会ならよそでもできる。雨風がしのげる、こじんまりしたこぎれいなキャビンで良い。
ウォータープレッシャー
ちょっと使いたい時にいちいち電源スイッチパネルのスイッチを探して、スイッチオンなんて面倒、フットポンプですぐに使える方がいい。それにたいして量は使わない。
冷蔵庫
家庭の冷蔵庫は24時間回ってるから冷えてるけど、これからスイッチ入れてもなかなか冷えないし、その間バッテリーも心配なので、エンジン回しっぱなし、これも要らない。コンビニでその日の分買って、クーラーボックスに氷いれていた方がよっぽど冷える。
ガスコンロ
たいした料理なんか作った事ないし、せいぜいラーメンかコーヒーを入れるぐらい。カセットコンロで充分。ましてオーブンなど使った事が無い。
シャワー
海水浴には確かに便利だが、最近子供達も来ないし、それに年に1度か2度、マリーナに帰ればシャワーもある。
トイレ
男だけなら不要、でも女性がゲストなら個室でなくてもカーテンで仕切るか、入り口を閉める。
ジブファーラー
これは便利、でも必需品では無い。ハンクスでもOK。小型艇ならセールも小さいし、出航前に簡単にセットできる。降ろすのだって、ちょっと工夫して、ピークから細いロープをおろして、コクピットまでリードすれば簡単に、さっと下ろせる。
ライフライン
これとて無くても大丈夫。心配ならハーネスを付けておく。前に行く時はマストのステイにつかまる。
航海灯
夜間航行などしない。せいぜい夕方、暗くなるまでには帰ってくる。それに万一の為なら、電池式の航海もある。
キャビン照明
必要ならキャンプ用のガスや電池式のがある。キャンプみたいなもの。
こう考えれば、バッテリーさえも不要。充電、放電の心配も、メインスイッチをきったかどうかも、全く心配要らない。それにどれだけ経費が節約できるか。
何にも無いからメインテナンスも非常に軽減される。その分セーリングを楽しめるし、お金もかからない。これらが無いのなら、たいていの事は自分でできる事ばかりなのです。自分でできるから良く解る。そして本当の自分のヨットになる。
こんな事より、気にしたいのはヨットの安定性と操作性です。特にシングルハンドの場合、バラスト比が高いのはありがたい。ブローにそれほど神経質にならなくて済むし、風に対するキャパシティーが高いので、より帆走を楽しめる。それに手の届く範囲で全てのコントロールができればシングルハンドには多いに助かります。
決して大型艇を否定するものでは無く、小型艇を見直しましょう。という事です。セーリングそのものを楽しむという事を基本に考えましょうという事です。遠くへ行くだけがヨットではありません。あるベテランヨットマンは毎日が初心者だと言われていました。その日によって風も波も違う。決して同じ日は無い。同じ海域でもセーリングは楽しいのです。
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