第十三話 東京

テレビのニュースや、業者間の話でも、特に関東あたりでは大きな艇が売れているらしいです。特にパワーボートに顕著に表れているとか。これも経済格差のあらわれのひとつでしょうか?残念ながら九州にはまだそういう風が吹いてきていません。確かに、東京は人口も多いし、マリーナもたくさんあり、景気は東京から始まる。

東京はセーリングスポットとしてはあまり面白く無いという話も聞きます。湾内は本船が頻繁に行き交い、それで遠くにおいて、車でそこまで2時間。それもしんどい話です。その点、福岡は海が非常に近い。2時間もあったら長崎まで行きます。島が点在し、セーリングにはもってこいの場所、という事で、東京の方がこちらに置いて、こっちでセーリングを楽しんでおられる方もおられます。2時間あったら、東京から飛行機で来て、福岡のマリーナに到着する。年間経費を考えても、安くつく。
東京が九州のようなスポットなら、ヨットはもっともっと流行るでしょうね。

博多湾には、湾内に島がひとつ、湾の出口にひとつ、そして外には点々と島があります。その時の時間の取り方で、半日コース、1日コース、泊まり、などいろいろなセーリングができます。ビジネスは東京、セーリングは福岡、でっかいヨットを買って、東京に置くより、いっその事福岡に置いて、年に数回、1週間単位で遊びに来られると、かえって存分に楽しむ事ができるのではないかと思います。今や、世界は小さくなりました。飛行機でちょいです。ひょっとすると将来は外国においておくなんていう事も珍しく無くなるかもしれません。そうなると関東、九州の距離なんていうのは問題になりませんね。

ところで、距離に対する感覚というのは違うもので、大陸に住む方にとっては近いという感覚が、日本人にとってはとっても遠いという感覚になります。同じ日本人でもグローバルに移動する方は、また違う。そう考えると、関東と九州なんていうのはたいして距離は無い。海外から見れば、ほとんど無いに等しい。考え方を変えれば、もっと楽しむバリエーションは増えそうです。そう言えば、ニューヨークに住むオーナーがフロリダに船を置くという話も聞きます。この距離たるやもっと遠い。全ては考え方次第、どんなゲームをしたいかにかかっています。

ニューヨークは経済、フロリダはリゾート、ハリウッドは映画、それぞれの文化があります。日本でも同じで、東京で仕事して、九州でセーリング、スキーは北海道に行く。これからの時代、そういうのも有りではないでしょうか。ヨットにどっぷり浸かって、ヨット三昧も良いですが、ヨットはいろんな事のひとつとして遊ぶという事でも良いと思います。実はもう10年ぐらい前になるでしょうか、シンガポールの近くにマリーナがあって、そこにはヨットが係留されていました。オーナーは海外から来られるそうです。オーナーから来るという連絡を受けたら、ヨットに食料を満載して、空港に着かれたら向かえに行く。オーナーはヨットで楽しんで、また帰っていく。そんな所がありました。そんなサービスもあるのか、と思った次第です。

東京の方が九州に飛行機で来るのは何でも無い事で、パスポートさえも不要ですから、もっと簡単です。そういう楽しみ方もある。どうせ2時間かかるなら同じ事、かえって遊んだ気分は充実するのではないかと思います。庭をぐ〜んと広げた感覚です。いかがです?

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