第十七話 ピクニック

さて、ピクニックを楽しむには、いかにしたものか? 一回や二回のピクニックを楽しむのは簡単であります。問題は、それをいかに頻繁にやれるように楽しめるかという要素が必要になります。

ピクニックの楽しさは、できればひとりより、誰かと一緒の方が良いかな〜と思います。誰かを気軽に誘って、海に出る。もうこれだけで楽しいはずであります。ところが、問題なのは、たまになら良いが、そうしょっちゅうは来ないかもしれない。だから、違う人も誘います。一辺にたくさん誘いますと、一回で終わりますから、小出しに、ひとりひとりとかいう感じ? 友達でも、近所の人でも、孫でも、近所の子供でも良い。誰かしょっちゅう捕まえては、ピクニックに誘う。

そして必ずセーリングの味わいを得る事。会話でもてなす事も必要になるだろうし、ヨットの話なら話題には困らない。会話が尽きるなら、舵を持たせて操船させてみる。或は、ちょっと教えて、シートを引いてもらう。そういう参加型の方が、招待された方も楽しめるかと思います。

多分、招待された方は、最初はとっても楽しめる。非日常の海、しかも風の力だけで走る。その感覚は陸上では味わえない世界ですから。それでも、コクピットに30分も座り続ければ、そうでも無くなってくるかもしれません。座り続けて、2時間も3時間も楽しめる人は、そう多くは無いのではなかろうか? もし、それでも退屈しないなら、それはオーナーの会話上手の御蔭ではなかろうか?

ところが、自分が少しでも操船に参加しますと、気分はがらりと変わるかと思います。シングルハンドで、自分が操船しているから飽きないけれど、オートパイロットに任せて、延々走り続けたらどうでしょうか?操船は一切無しで。あまり楽しいとは思えません。だから、そうなると、飲み食いや会話等々が必要になる。だから、操船に参加してもらう事が必要だろうと思います。

そうしますと、舵を持たせて、ちょっと教えて、そこに新しい会話も出てきます。最高のエンターテインメントは操船に参加してもらう事ではないかと思います。車と違って、ぶつかる物は無いし、ジグザグしても、自分の操作でそうなるわけですし、最も良い方法だと思います。

風が強いなら、早めにリーフしてやってもらう。ヒールも大きくなるので、ちょっとドキドキ感も出てきますが、案外、それでも楽しめるものであります。そうやって楽しんだ方の方が、二回、三回と来られるようです。

これが風が無い時が困ります。いくら舵持っていても、反応が無い。これは最も難しい。こうなったら、エンジンかけて、エンジン走行を楽しんでもらうしか無いかな? でも、それでも、セーリングの話はしておいて、次回には是非セーリングでという事にします。

ヨットでの最高のもてなしはセーリングであります。飲み食いではありません。そんな物無くっても、ゲストはセーリングを味わえば満足すると思いますね。ですから、飲み食いは風の無い時の補助程度でしょうか? だからたいそうな準備はしない方が良い。気軽で、何度も誘ってあげた方が良い。何しろ、いろいろ用意されますと、ゲストは遠慮しちゃいます。

天候に左右されるのがヨットですので、いつも思った通りにはいきませんが、でも、選んで、ピクニックを楽しむ事を積極的に行い、それでも、そのうちゲスト無しの時が来ますから、その時こそ、ちょっとセーリングを意識して、シングルハンドでセーリングを真剣に走ってみる。そこをお薦めしたいですね。すると、ピクニックとセーリングのスポーツを両方味わえるようになります。

スポーツセーリングをしますと、天候の条件はピクニック程求める事は無くなり、風のいろんな状況でどういうセーリングができるかと、楽しさが面白さに変わると思います。だから、両方をやって、頻繁に楽しめるようになれるかもしれません。そこで最も大切な事は気軽である事です。

マリーナから出て、2〜3時間です。準備する物は殆ど無い。気軽に出て、楽しんで、帰ってくる。気軽ですから、強すぎる風に無理する必要無いし、マリーナに行って、雨でも降りだしたら、気軽にやめる。気軽に、気軽に、ピクニックとスポーツセーリングを楽しめるようになれば良いと思います。

そして、時が経ち、やがて、セーリングの面白さがもっと増えてきますと、これは良い現象ですね。
ある方、隣のアレリオン28のオーナーがしょっちゅうセーリングに出ているので、ひと言言われました、”セーリング好きなんですね!” 今度から、私もセーリングしよう、と言われたそうです。
これは良い現象ですね。

それで、ピクニックから始めましょう。何てったって、ピクニックセーリングです。そこから入って行かないと、なかなか先には進めないかもしれません。そのピクニックにも、やがては、ちょっとだけセーリングに真剣味を与える。ゲストにとっても、そこが面白さになると思います。 

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