第五十九話 セーリングが増えてきた?

デイセーラーを唱えて17年。やっと少しではありますが、セーリングが見直されてきたのではないかと思います。ヨットにはレース以外、クルージング以外、宴会以外、別荘以外、セーリングそのものを楽しむという方法があるという事です。

私の知っている範囲、狭い範囲でしょうが、ヨットに寝泊りをした人は少ない。あっても、年に1回とか2回とか。温水あってもシャワーも使った事が無い。ギャレーだって、結構、ポータブルのガスコンロを持ち込んでいる人も多い。お湯を沸かす程度かな? 

旅を続ける人達には必要な装備でしょう。しかし、旅をしない間は殆ど使わない。だから、デイセーラーには殆どギャレーが無い。シャワーが無い。あるのは、万一を考えてのトイレぐらいか。そのトイレも使った事が無い人もおられる。コンビニで飲み物とお弁当買って乗り込めば、その日のセーリングに何ら支障は無い。また、短時間の3時間程度なら、飲み物ぐらいで十分。食事は、帰ってきて、レストランでゆっくりという事もある。

それで、デイセーラーは,、キャビンはシンプルにして、デッキ上のセーリング操作に関しては、操作性とかを充実させる。基本はシングル。ジブシート、メインシート、トラベラー等々の配置をそういうデザインにしている。シングルハンドが基本です。

そして、船体は固く作ります。そうすると、セーリングにおいて、波に負けない強固なハルは、スピードばかりでは無く、滑らかさも感じさせてくれる。船体重量に関しては、軽く、でも、レーサー程軽くではありません。そこまでやったら、強風時のシングルでの対応がとっても難しくなる。だから、ほどほどにであります。

コクピットに座って、舵を握って、ジブシート、メインシート、トラベラー、バックステーアジャスター、バング、カニンガム等々に手が届く。だから、操作した途端に、その反応が良く解る。すると、意識がセーリングにあれば、徐々に慣れて、微妙な変化も解るようになる。だから、操作を少しやっても解るからこそ面白い。

それで、船体のボリューム感は小さい。幅は狭いし、天井も低い。だから、重心は低いし、さらにバラストは重い。よって安定性は高く、ボリュームに圧倒される事も無いから、シングルでも、気軽に出す事ができるし、容易にその気になれる。

イーグル44というデイセーラーがありますが、そのサイズにしてはボリューム感に圧倒される事が無い。だから、このサイズなのに、シングルで気楽に出して、44フィートヨットのセーリングを楽しむ事ができる。

デイセーラーはあくまでセーリングをいかに楽しめるかを中心にデザインされています。だから、キャビンはあるが、広くないし、その必要も無い。内装の装備においてもしかり。そういうスポーツカー的な使い方は日本人にとっても合うのにな〜と思います。車ならそうはいきません。通勤に使ったり、旅行に行く時の交通手段だったり、荷物運んだりします。しかし、ヨットはそんな仕事は一切無い。

ヨットの可能性はレースか、旅か、別荘かという処。レースしないなら、旅をしないなら、しても近場なら、忙しいなら、別荘的に泊まらないなら、デイセーラーで事足りる。むしろ、セーリングが面白くなるだけ、こっちの方が面白い。と思うのです。そのデイセーラーで、レースもできるし、近場の旅もできるし、泊まる事だって本当はできる。ただ、そちらを優先してはいないというだけであります。

セーリングを中心に据えると、ピクニックのお気楽からスポーツセーリングまで、より帆走を堪能する事ができる。しかも、ちょっとした暇さえあれば良い。忙しい人だってできる。これもできない程暇が無いのなら、何もできない事になる。

そう考えますと、日本にデイセーラーと称するヨットばかりでは無く、小型のヨットがもっと増えても良いはずではなかろうか?20フィート前後のヨットが、ものすごくたくさんある光景があっても良いのではなかろうか? しかし、現実は、マリーナの保管料が高いせいもありますが、そういう小型は少ない。日本のヨット普及には、小型ヨットの普及が欠かせないのではなかろうか?

ところが、外国からそういうヨットを持ってくるには、輸送費がかかりすぎる。だから値段も高くなる。それに需要も無いのにそんな事はできません。これは、日本の全体の気運の変化が出てこないといけないのかもしれません。そのきっかけは何か? 取り敢えず、マリーナの保管料を、小型ヨットに関しては、超安価でお願いできればな〜と思います。そうしたら、若い世代もヨットで遊ぶ事ができる。中古なら何十万、ただで上げますというのもあるのです。

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