第一話 ヨット文化の浸透度

   
   

世の中、実に様々なヨットがあり、全てを効率や便利、性能という面だけで見ると、今更何でそれ?と思ってしまう事もあります。全てのヨットがどこかに何らかの妥協をせざるを得ないので、パーフェクトはあり得ないならば、そのヨットのどこを見るかによって、それこそヨット文化の広がりによって見る目のバリエーションも多くなり、よっていろんなヨットが求められると思います。

速ければ良いってもんじゃない、時化に強ければ良いってもんじゃない、便利なら、安ければ、高ければ、あらゆる要素がメリットであり、見方を変えればデメリットも見えてくる。そこが遊びの面白さではないかと思います。誰もが共通の目的を持つならば、簡単な事なのですが。そう考えますと、日本にあるヨットのバリエーションが少ないのは、ヨット文化がまだまだ浸透していないと思えてきます。これはただ時間を待つしか方法は無いのでしょうね。

昔、デイセーラーを始めた頃は、全く売れませんでした。それがやがてアレリオンを初めとして人気が高まり、デイセーラーというコンセプトが徐々に受け入れられてきたわけですが、海外では既にデイセーラーのバリエーションも多く建造されてきています。日本はこれからですね。

人の価値観、好みは千差万別ですが、それぞれの違いを見せるのは、それが浸透してからの事、それまでは他の人と同じにして安心したくなります。特別なものに興味はあっても、実際に行動するのにはハードルが高く感じます。日本にスペシャルなヨットが殆ど無いというあるフランス人、ヨット文化の歴史の違いだろうと思います。

日本でも、少ないですが、個性的なヨットも進水してきています。傍から見て、これはどうのこうのと他人が勝手な事を言いますが、でも、オーナーは好きでオーナーになっているわけで、オーナーが気に入っているのが一番、使い方次第で評価は異なります。ですから、そのヨットの良い部分を見れる感性を持てれば良いかと思います。自分の好みかどうかは別です。

ヨットは自分の感性を楽しみ、味わう手段としての乗り物。見た目のデザインから、使い勝手、帆走性能、大きさ、価格、レースだってクルージングだって、何だって感性に響くかを遊ぶわけですから、できるものなら、自分の感性で選んでみたいものです。でもそんな事ができるのか? そのハードルを下げるのは、やはりヨット文化の浸透度に知らないうちにコントロールされているのかな?でも、一部の方は、そんな事に振り回されずに我が道を貫いていく人も居て、そんな方は勇気ある者、冒険者、先導者かもしれません。文化の先駆けを行く人。

上の写真はフランスのケープコッド896です。約30フィートですが、このサイズでキャビンは無し、あくまでセーリングを楽しむ為のヨットです。インテリアが無いせいもあって排水量は1,450kgしかありません。ですから、レースも楽しみ、セーリングも楽しみ、家族とのセーリングももちろんと謳います。でも、考え方次第ですが、セーリングが面白ければ、何もキャビンに居る事も無いし、要らないな〜という考え方もあります。賛同できます?


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