第九話 美しさは如何に(独り言)

   
   

セーリングパフォーマンスと言っても、中身は多岐に渡ります。それは何もレーサーやハイパフォーマンス艇にだけ重視されるわけでは無く、クルージング艇にとっても、クルージング艇としてのパフォーマンスが重視されます。それがレーサーなのか、クルージング艇なのかによって求めるパフォーマンスが異なるだけです。

さて、パフォーマンスが重要なのは当たり前として、別の角度で見ますと、そのヨットの美しさに惹かれます。とても美しくて、それを気に入ったら、これも選択の大きな理由のひとつになるし、それに美しいヨットはパフォーマンスも良い。

現代のクルージング艇はキャビンがでかくなり過ぎた。そこに住むならまだしも、そんなにキャビンを使いまくるわけじゃない。にもかかわらずこんなにでかいキャビンの必要性があるか?でかいだけなら良いが、重くなってパフォーマンスを削ぎ、それ以上に美しさを保つ全体のバランスを削ぐのではないか。

ヨットなんて生きるうえで必要なものでは無いから、それを何とか役に立つからと納得して、それを手に入れようとするのもひとつのやり方です。でも、どうせ役に立たないんだから気にもせず、美しさから入っても良いのではなかろうか? 

美しいヨットはそのヨットが持つパフォーマンスのみならず、その美しさ故に気分のレベルを上昇させる。セーリングしているだけで、そのパフォーマンスを感じ、良い気分を味わい、その上、美しさがさらに段階のレベルをあげる。ヨットなんてそれで充分ではなかろうか?

但し、こういうヨットは、常に美しさを保つべく維持管理していなければならない。自分でやるのが一番だが、できなければ業者に任せる事になるが、その際は費用がかかるという事になります。だいたい、ヨットは購入費用のみならず維持管理費用も含めて考慮されていなければならない。

いつも美しい姿で係留されていて、それを気軽に出せて、美しく走らせ、決してバタバタせず、美しいパフォーマンスを純粋に味わう。何て粋なんでしょう。何ができるかできないか?これが、あれが、とか何とかは問題じゃない。そんな事はどうにでもなるもんです。美しいセーリング、滑らかなセーリング、それを感じるだけで気分は最高、そのうえ美しいデザインなら尚グッド。これは他でどうにか補える問題では無い。

まあ、理想的なヨットを掲げましたが、あくまで個人的な感想、独り言に過ぎません。ヨット選択には各人それぞれに理由があります。その中のひとつとして美しさがあっても良いんじゃないかと思います。速いか遅いか、広いか狭いか、これらだけが重要なのでは無い。でも、美しいか美しくないか、カッコイイか悪いかはとても重要だと考えます。もちろん、これは各人の感性の問題ですから、美しさもそれぞれではあります。


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