これならシングルハンドも可能だろうなんて３０フィートぐらいのクルージング艇を指して言う方は少なく無い。でも、今日、様々な艤装品が出てきて、これらを使えばどうにでもなると言えばどうにでもなります。 まずはオートパイロットがあるから、舵から手を離す事ができて、自分がクルーみたいに動く事ができる。今時はバウやスターンにスラスターを設置して自由に動かす事ができる。ウィンチだって電動にできるし、メインセールだってコードゼロだってジェネカーだってファーリングにできる。理屈で考えると、どんなヨットだってシングルはできそうです。 シングルさえできれば、誰を誘おうと、全くの未経験者であろうと構わない。出航時にはコクピットにただ座らせておけば良い。全くの未経験者に手伝わせようなんてすると、返ってトラブルになる事もあります。それでマリーナを出て、メインをあげて、ジブを開く。この段階になると未経験者にちょっと手伝わせて遊んでもらう事もできる。力仕事は要らない、電動ウィンチがある。 という事で、理屈的にはどんなヨットでもシングルはできるはずです。しかし、この妨げになる事がひとつあります。それはヨット全体のボリュームです。否、実質的ボリュームというより、そのオーナーが感じる、でかいな〜とか、そういうボリューム感ではないかと思います。理屈ではできても、感覚的な圧倒感を感じると、なかなかできなくなる。もちろん慣れの問題ではありますが、その難関を通りこして慣れればできるようになるが、そこはやっぱり難関かもしれない。 既存の中古艇にそれらの艤装を追加する事はありますが、なかなかフルにはできません。費用の問題でしょう。でも、新艇オーダーの際には、こういうフルか近い艤装を要求される方も多くなりました。恐らく、昨今のクルー不足に起因すると思います。 ボリューム感は特にクルージング艇は高いフリーボードとでかいキャビンで圧倒されるかもしれません。それに上背がでかいと風圧面積も大きくなります。それに対応出来るように装備を施しますが、これがシングルでは無く、二人になると状況は一変します。かなり楽になれます。三人ならもっとでしょう。ここらはオーナーの事情次第です。 上の写真のイーグル３８はデイセーラーですから、そのままでシングルができるようになってます。フリーボードも低いし、キャビンも狭いのでボリューム感から圧倒される事も無い。それでもと用心深くかんがえるなら、メインをファーラーにできますし、ウィンチを電動にできますし、ジブファーラーそのものを電動にしたり、メインシートも電動でボタン操作のみで出し入れの両方ができる様にもできます。おまけにスラスターも設置可能。ただ、それらをしなくてもシングルが可能です。 シングルができれば何だって可能になる。クルーを待たずに気が向いた時にはいつでもセーリングを味わえる。誰がゲストに来ても大歓迎、まさしく自由自在なのです。何故シングルか？　この自由自在感を獲得できるからではないでしょうか？　但し、自分で自分のヨットぐらいは良く知っておく必要はあります。まあ、どの艇でも同じではありますが、クルー任せにはできません。 という事でデイセーラーはシングルハンドがやり易い。これは全長の問題というより全体ボリュームという要因が大きいのではないでしょうか？　もちろん艤装もあります。どんなヨットでも、シングルができるに越したことは無い。でも、そうは簡単な事でも無いかもしれませんね。

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