第十一話 新しいコンセプト?(デイセーラーとクルージング艇の融合)

   
   

オーストリアの造船所、サンビームヨットが発表したニューモデル、サンビーム32.1です。従来のクルージング艇とは異なる新しいコンセプトのヨットだそうです。全体的に斬新なデザインです。特徴的なのは、バウの処で、ハルの幅よりデッキの方が広くなってます。 これはバウデッキが広いだけじゃなくて、波がデッキ上にあがりにくくなると思います。波はデッキ下で落ちるでしょう。ヨットではこういうのは他にはありませんが、スポーツフィッシャマンに凄いハルのフレアーが見られますが、あれと同じ様な感じかな。それは兎も角、何を狙ったデザインなんだろう?



全長は9.9mで幅は2.98m、昨今のヨットにしては幅がそれほど広くはない。排水量は4,150kgで、クルージング艇よりは軽いが驚く程軽いわけじゃ無い。ただ、セールは通常の三角セールかスクウェアートップメインの用意もある。吃水は1.3mか1.8mの選択。



キャビンを見るとワンルームで、バウバース、メインサロンの両サイドにソファー、アフトバース(ステップの後ろ)があるが、これらはドアによる仕切りが無く、全てオーブンのワンルームです。それにコンパクトなギャレーがあって、トイレだけは個室になっている。



従来からのクルージングヨットの造船から一変した新しいコンセプトのヨット。何と呼んだら良いのかは解りませんが、既存のデイセーラーよりも広いキャビンで個室トイレがある。だからと言って、クルージング艇程広くはない。インテリアは比較的シンプルです。でも、大方のクルージングには充分ではなかろうか。

クルージング艇と呼んでも良いし、デイセーラーと呼んでも良いかもしれません。両方を融合させた新しいコンセプトと言えるかもしれませんね。デイセーラーに個室トイレが欲しいし、キャビンをもう少し広くという要望を持つ方も少なく無い。だからと言って、今日のクルージング艇程は要らない。そういう事か?それに、セールもキールもゆったりからセーリングパフォーマンスを求めても良い。

つまり、このヨットをデイセーリング主体に使いたいなら、セーリングパフォーマンスを上げるスクウェアートップメインとか深いキールにしても良いし、クルージング主体と考えるなら通常のメインに浅いキールにしても良い。

こういうヨットのデザインが今後増えていくかどうか? キャビン拡大競争の出口となるか?狙いはとっても良いと思います。でも、外装デザインの斬新さというかユニークさはどんなもんでしょう? 意見が分かれる処かな〜?


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