第十七話 小型ヨットの行方

   
   

日本では小型ヨットがどんどん少なくなって来ています。特に20フィート前後ぐらいになると、無料で差し上げますと言っても引き取り手がいない。以前、そういう事あって廃棄処分した事があります。キャビンが狭い、船外機は駄目、遠くに行くにはしんどい・・・云々。もちろん、そういう理由ばかりでは無く、海外から輸入するも輸送コストが高くなり過ぎる。係留費もばかにならない。

でも、海外では今もいろんな小型艇が市場に出ています。それもいろいろ工夫されています。近場に焦点を絞って、より気軽にヨット遊びを考えるには良いし、こういうのがうじゃうじゃあると、それこそヨット文化が社会に根付いていくのかもしれません。

TES550というヨット、全長5.5mです。18フィートです。キャビンは当然ながらワンルームなのですが、個室トイレもギャレーもある。昔じゃ考えられなかった。海外では小型艇に対する需要があるからこそ、建造する側もいろいろ工夫して出していく。それが18フィートでこんな事できる。まあ、ずんぐりむっくりで美しいとは言い難いが、でも、誰でも、気軽にヨット遊びを楽しめる。

ただ、こういう小型ヨットは海外から輸入するとコストががかかり過ぎるので、ここは国産が良いでしょうね。でも、需要が多くないと誰も造りません。造れば需要を喚起するのか? 解りませんね。ヨットはある特定の一部の方だけが楽しむのでは無く、そこら歩いている人が、ふと気にして、調べたら自分でもできそうだなんて考えて、じゃあ、と20フィートあたりでも良いと思える様なヨットがたくさんあれば、ヨットはもっと広がるかもしれません。遠くに行かなければ充分楽しめる。

湾内だけでも楽しめる。ある方、仕事現役の時は湾内から出たことなかった。引退し初めて湾を出た。それまでは21フィート、それから27フィートに買い替えて日本一周までされた。でも、日本一周なんてしなくても良い、湾内だけで遊んでも良い。湾内だっていろんな事があります。

小型でもヨットが増えると、ヨットを理解する人が増え、オーナーのみならずメインテナンス業者もヨットを勉強するし、日本中どこにおいても困らない、なんて事になっていくかもしれません。今は、マリーナによってはボートは解るがヨットは解らないという事もあります。皆が解ると、大型艇のオーナーだって助かります。広がるというのは良い事なんですが、それがなかなか難しい。仕方ないですね、時を待つしかありません。


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