第四十三話 アメリカ &. ヨーロッパ

   
   

この数年アメリカ艇とヨーロッパ艇を比べますとどうもアメリカ艇の価格の方が高くなってきている様に思います。これは一体どういう事だろうか? 為替レートの関係でしょうか? それもあるだろうとは思いますが、推測にはなりますがヨーロッパ艇の建造に関しては多くの造船所が、皆さんが知っている大手の造船所も含めて建造を東ヨーロッパに移してきているというのもあるのではないかと思います。もちろん人件費がその方が安いからです。全てのモデルでは無くても一部のモデルとか、建造の一部のプロセスとかです。

もちろん、東ヨーロッパでも技術はあるだろうし管理もするだろうし品質的には問題は無いと思います。何しろヨーロッパは陸続きですから輸送もし易い、しかもEU圏は自由に行き来ができます。さらにユーロという共通通過を使っています(英国はポンドですが)。それで為替リスクも無い。一方、アメリカはどうでしょうか? カナダは先進国ですし、南米となるとどうだろうか? ましてアジアは遠い。まあ、完全に生産拠点を移してしまえばコストを下げられるのかもしれません。

日本は過去30年間に及ぶデフレで人件費が下がりっぱなしですから日本での建造の可能性もあるかもしれませんが何しろマーケットが縮小傾向にあっては日本で建造しようとは誰も思わないでしょう。では輸出すれば良い。ならば輸送コストも考えるなら日本以外のそれこそ東ヨーロッパのどこかに造船所を造るか、造船所を買収するかという方法もある。でも、そこまでリスク取ってやる人は居ない。

つまり要は30年も低迷している日本経済が問題で、最近GDPはドイツに抜かれて近いうちに4位に転落しそうとか。人口は日本より30%程度少ないのにGDPはドイツの方が多くなった。それゃあそうですよね、30年も低迷しているんですから。 という事は人工減少だけが問題じゃないのではないか?

という事で価格の事だけで言うとアメリカよりヨーロッパの方が少し安いと感じます。もちろん、ヨットは価格だけでは無くデザインやクオリティー、個人の好みもありますからどちらが良い悪いの話ではありませんが、そういう状況だろうという話です。

ただ、最近は為替レートが円安ですからいずれのヨットにしろ今後の様子を見てからという方が少なくありません。普通の判断だろうと思います。でも、一方では待ってる間の時間を失っているとも考える事ができます。時間は目には見えないがとても貴重な価値でありますから、そこも考える必要もあるかもしれません。 そう言えば何話か前のスーパーヨットの話を書きましたが、あれは明らかにそういう考え方でなりたっていると思います。時間をも含めて買うという考え方です。


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