まとめ

第一章のまとめです。エンジンでマリーナを出入港できるようになる事、そして、セーリングの効率は兎も角、行きたい方角へセーリングができるようになる事。そういう事を書いてきました。加えて、各艤装の役目や使い方も簡単に書きました。ちょっと性急すぎる感もありますので、知識として知って頂ければ結構かと思います。

この段階では、セーリングにおいて、メインとジブのシート操作と舵操作、これだけでもセーリングはできます。でも、この先がもっと面白くなるところです。セールは形とドラフトの深さで、風をどれだけ取り込むかを決めて、そのセールを形を変えずに走る角度に合わせて、どれだけ出すか、という事。こういう全体の事を知って上で、簡単な操作にまずは慣れて頂きたいと思います。

他の事は、今のところ知識として頭に入れるだけでも良いかと思いますが、知識があれば、疑問が沸いた時の答えがそこに見つかるかもしれません。そうしたら自分でやって答えを引き出す事も可能ですし、それが面白さにも繋がると思います。

基本は風の捉え方をどうするか?きちんとした形ではできないにしても、意図が明確なら、もっと風を取り入れたいとか、もっと減じたいとか、それにはセールの形はもっとこういう具合にした方が良いとか、その適切な形は解らないにしても、どうしたいのかの意図が明確になれば、後は知識を求め、実践する事で解決に繋がっていきます。

セールトリミングとか言いますが、その意図が明確でないと、何をどうすべきかが解りませんから、
セーリングに対する意図を意識する事は大事ではないかと思います。動けば良いという程度であるなら、それほどやる事はありません。

解るからこそ意図が生まれ、その意図にそって知識を得、実践する事によって結果とフィーリングが生まれます。それを面白がっていくというのがセーリングを楽しむ事だと思います。そして、ここには、一般的な装備とその役目を簡単に書きましたので、それらをも使って、どういう時にどうするのか、暇な時にはちょっとぐらい考えても良いと思います。

この段階で、エンジン走行とセーリングにおける、シート操作、タックとジャイブに慣れるようにして下さい。その他、各名称、使い方なども、知識として覚えてください。基本的セーリングに慣れつつ、そういう各艤装を操作してみてください。

シート操作のみの段階はそう難しくは無いと思います。この先はもっと難しくなります。それは操船方法では無く、調整だからです。調整というのは、答えが明確ではありません。多少ずれても走る事ができますから、それは自分の観察力と感じる力によって行われます。それらはやはり徐々に経験を積んでいく事で養われます。

鋭い観察力と感性によって、意図が生まれ、知識でもって操作する内容が決まり、実際に作業して、また観察力と感性に戻る。そういう循環ができてくる。それがレベルを上げて行く原動力になり、面白さになると思います。

まあ、難しい事考えずに、兎に角今は簡単な操作で、どんどん乗って遊んでください。時間はたっぷりあります。今から10年遊ぶとしたら、たくさんの時間があります。それが20年に、もっと長くなるかもしれません。面白いと感じたらです。

それと、この先、シングルハンド、ひとりで全部操作するという事も頭に入れておいてほしいと思います。昨今、クルー不足は日本のみならず、世界的傾向と言われます。自分が乗りたいと思う度に、誰かを誘って、しかもヨットが解る人でないといけませんし、そういう誰かをいつもあてにしますと、かなり制限が出てくる事になります。人には都合があるもので、給料でも支払わない限り自由にはできません。それで、自分で全部できるなら、ひとりでも、気が向いたら楽しめますし、誰でも招待できますし、それこそ自由自在であります。ある程度慣れたら、シングルでやるとしたら、どうしたら良いかという事を頭に入れておいてほしいと思います。

さて、この先は各部を、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

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