メインテナンス
良いセーリングをするには、ヨットを良い状態に保たねばなりません。ヨットにはいろんな装備が設置してありますので、それらを十分知って、良い状態をキープする事が必要になります。まずは、デッキ上の装備、いろんなロープがあっちこっち走っていますので、それらを自分の目で確認して、どこをどう通っているのかを知ってください。ハリヤード類は、マストの中を通っています。アウトホールはブームの中、それらも含めて、どこがどうなっているのかを確認してください。何かをする時、これが解っていると簡単に対応できます。トラブルも予想がつく。 そして、いつもやっている作業に何らかの違和感を感じたり、いつもより重いとか感じたら、何かの原因があるわけですから、ウィンチなどで無理やり引いたりしますと、トラブルの元です。セールを上げる時、いつもよりちょっとでも重さを感じたら、無理やり引いてはトラブルになります。ちょっとロープが絡んでいるだけでも、重くなります。デッキ上の全ての装備がどうなているのか、十分確認しておいてください。それさえ解れば、万一の時、応急的な事もできるようになります。 さて、今度は船内です。同様に、装備がどこにあって、何の役目であるのかを確認し、また、清水関係とかであれば、タンクの位置やホース類がどこをどう走っているのか、繋ぎはあるのか、そういう事も確認してください。これらを全部知る事が最初で、今後はそれらがうまく作動していく為に、メインテナンスをしていきます。ヨットの寿命とか言われますが、実際船体は50年とか60年とか持つだろうと思います。持たないのは装備の方です。それでも、10年以上使っていけるわけですから、ヨットは環境の事も考えれば、実に長持ちします。 基本は掃除です。それと、動く物は動かしてやる事です。多くの場合、船底に開閉バルブが設置してあります。エンジンの冷却水、トイレのインとアウト、ギャレーの流しの排水等々ですが、これらのバルブが固着して動かなくなっているヨットが多い。これはいざという時に、閉じる事ができなくなりますので、例えば、トイレ修理するにあたって、バルブが閉じれ無いと、それだけで上架しなければならなくなります。 清水は、タンクがあって、ハンドやフットポンプがあり、それで、ギャレーに水を出すか、或いは、電動のポンプがあります。これには、別にアキュムレータータンクというのが設置してあると思いますが、これはこのタンクの中にポンプの圧力を溜めこむ物で、一定圧が溜まると、自動的にポンプが止まり、水を出すと圧が下がるので、再び自動的にポンプが動きます。つまり、使う度に、ポンプのスイッチをオンオフしなくても良いわけです。もし、水を出していないのに、ポンプが止まらないとしたら、アキュムレータータンクに圧が溜まらないわけですから、タンクに水が無いか、或いは、どこかで水漏れがあるかです。つなぎ目とかを確認すれば解ります。 トイレには、吸水と排水があります。そこに開閉バルブがあります。大抵は、トイレ自体の設置場所が海水面よりも低い位置に設置してある事が多く、その場合、ホースを一旦高い位置に引き上げて、そのトップにエアーベントを設置し、吸水ポンプが作動中はその圧で、弁を閉じ、ポンプが動かない時は弁が開いてエアーを入れる。これによって、サイフォン現象で海水がトイレに入ってくるのを防ぎます。トイレが高い位置にあるにしても、ヒールして低くなる事もあります。その時に、海水が入ってくる事もありますから、基本的にはバルブは閉じる。 ヨットには船内に少なからず水が入ってきます。プロペラシャフトのスタンチューブから入りますし、マストがデッキを貫通しているのであれば、マストの中を通って、雨水が入ります。それらの水はビルジ留まりに集まり、ビルジポンプで時々排水する事になります。ポンプにはマニュアル式と電動があり、電動の場合は多くはフローティングスイッチというものが設置してあり、水が溜まっていきますと、スイッチが浮いていき、ある一定まで溜まると自動排水し、水が減ると自動停止します。これは、通常のスイッチパネルを介して配線されず、オート/マニュアルのスイッチが選べる別なスイッチに繋がれ、バテリーをオフでも作動するように配線されます。注意点は、オートだからと言ってほっとかずに、時折掃除する事です。ゴミが詰まって、スイッチが作動しない事もありますし、一旦浮いたスイッチでオンでも、下がらなかったりもあります。そうなるとポンプは回りっぱなしで、バッテリーが上がってしまいます。また、時折フローティングスイッチを手で持ち上げて、作動を確認する事も必要でしょう。いざという時、動かないでは話になりません。 船内に水が溜まるのを防ぐ方法は、スタンチューブにPSSという水が漏らないスタンチューブがあります。或いは、エンジンのギヤがセールドライブというのは、最近多くなりましたが、これも船内には水が入りません。溜まった水が、清水であれば、雨水か、タンクの水という事になりますが、海水なら、それがいつもとは違って異常に溜まっているなら、海水は無限にありますから、要注意です。原因を必ずさぐっておきます。海水か清水か?それは多少汚いとは思っても、舐めて確認するのが一番です。という事で、ヨットに来たら、まず一番にビルジの確認、セーリングして終わったら、ヨットを離れる前にビルジを確認。これを癖づけてください。 ギャレーにガスコンロがあるなら、プロパンガスのタンクは外に設置されています。使わない時は元栓を閉める事をお忘れなく。ガスは危険です。 温水が出るヨットがあります。エンジンが間接冷却で、車のラジエーターと同じ物を持つエンジンはこのラジエーター内の水が熱くなります。この水を温水器に循環させ、別のラインでタンクからの水を循環させ、温水器内の熱交換機で、熱を移して、温水を得る事ができます。ですから、エンジンさえ回しておけば、温水を得る事ができます。これは陸電と言われる、マリーナの桟橋から100Vを取れるなら、100Vでも温水が造れるようにもなっています。 基本的にバッテリーは12V、バッテリーが1個若しくは2個以上の場合もあります。エンジンをスタートさせる用のバッテリーと船内で使う電気用とにバッテリーが2個以上あるなら、使い分けします。それはバッテリースイッチが1、2、まは他BOTH(両方)のスイッチがあるので、これで使い分けします。但し、バッテリー充電は繋いだバッテリーのみしか充電しませんので、充電する事も考えて、消耗しているからこっちだけとか使い分けます。 もうひとつ、電気には100V交流というのがあり、これはかならずしも設置されているわけではありません。陸電装置があるヨットは船内で100Vの家電製品を使う事ができます。テレビやステレオ等。それ以外は車用の12Vの製品なら使えます。また、陸電を引いて、陸電からバッテリーチャージャーでバッテリー充電をする事もできます。但し、要注意は、冷蔵庫を冷やす為に冷蔵庫をスイッチ入れっぱなしにして、その代わり陸電でチャージャーの入れっぱなしにしますと、充放電を繰り返し、バッテリーがすぐに無くなったという事があります。 電気には、12Vバッテリーから、インバーターを使って、100Vを取り出す事も可能です。しかし、バッテリー消耗が激しいので、要注意です。 昨今、ヨットにおはいろんな電気製品が持ち込まれます。テレビ、ビデオ、CD,DVD、電子レンジ、冷蔵庫、GPS、計器、オートパイロット等々、バッテリー及びその充電を十分考える必要があります。充放電に強い、ディープサイクルバッテリーというのがあり、ちょっと高いのですが、お勧めです。 これら機器類は、ほったらかしではいけませんので、クリーニングと動かす事で、時折面倒を見てください。そうすれば長く使えます。できれば、私物がたくさんありますと、面倒くさくなりますから、できるだけ私物は持ち込まない。その日の分は持って帰る。ソファーの下をはぐれば荷物がいっぱいでは掃除なんかしたく無くなります。 これらに、エンジンのオイル交換等をやって、船底がきれいで、いつもベストコンディション。これで、セーリングの準備完了。これで楽しいセーリングができます。 |